エフピコ愛パック(本社:広島県福山市)は、平成19年に株式会社エフピコのグループ会社として設立された障害福祉サービス事業所(就労継続支援A型事業所)です。現在、佐賀工場・佐賀選別センターでは、36名の障害のある方が従業員として就労されています。
始めに、大江センター長のご案内で選別センターを視察しました。ここでは、回収した使用済みトレーや卵のパックのような透明容器を高品質な再生原料として利用するために、手作業による選別が行われていました。トレーの選別は、生産性や精度の面からも、機械ではなく手作業で行うメリットがあるのだそうです。次々と流れてくるトレーの選別はとても集中力と体力がいる仕事ですが、皆さんが一生懸命に取り組まれている姿をとても頼もしく思いました。
続いて、坂本工場長のご案内で佐賀工場を視察しました。ここでは、形が複雑な付加価値の高いお弁当の容器の組立や全国でもここにしかない明太子専用のトレーが製造されていました。
坂本工場長から「従業員の作業スピードに機械を合わせるのではなく、機械のスピードに作業を合わせられるように支援していった結果、生産性が約2倍に上がりました」と伺いました。
企業の戦力として皆さんの力を十分発揮してもらうという経営方針の下、個別支援計画に基づいた指導や支援が行われており、計算等の作業工程が組み込まれるなど、皆さんが日々成長できるような取組がなされていました。
他にも数を数えることが苦手な方への配慮や、作業機械に独自の工夫がなされるなど、皆さんのやる気を引出し、努力を続けられるような環境づくりを拝見することができました。
その後、エフピコ愛パックの藤井社長、坂本工場長やエフピコの西村総務人事副部長からお話を伺いました。
この事業所は、営利法人としては県内ではじめて、雇用契約に基づく就労を行う就労継続支援A型事業所として指定を受けています。従業員の皆さんの多くが佐賀県内に在住の方で、採用にあたっては「就労を希望する方の想いを大切にしながら、体力や技術などの適性を見極めた上で十分力を発揮できる場所に配置していくことが大切です」と伺いました。
この事業所では1日8時間勤務となっており、自立した生活が送れる水準の収入を得ることができるそうです。
西村総務人事副部長からは「企業経営という側面も合わせ持ちながら、障がいのある皆さんが、フルタイムで働き、自立していく道を支援したい」と伺いました。私としても、勤務時間をはじめ、働く皆さんの希望に合った就労形態が実現できるように支援していきたいと思います。
また、今後、さらに多くの使用済みトレーが回収されれば、雇用の場が広がっていくそうです。県としても、県民の皆さんのちょっとした取組で、障害のある方の働く場が増えるということを伝えていきたいと思いました。
また、障害の有無に関わらず楽しめるフロアホッケーというスポーツ活動も積極的に行われているそうです。従業員同士の交流を通じてお互いを理解することで、一人ひとりにあったきめ細やかな指導や支援が、更に効果的に生産性の向上や継続的な雇用につながっているのではないかと感じました。
エフピコ愛パック株式会社 佐賀工場・佐賀選別センターを訪問し、障害のある皆さんが活き活きとそれぞれの目標を持って仕事に打ち込まれている姿を拝見しとても感銘を受けました。また、その皆さんを全力で支援されている企業側の強い想いをしっかりと感じることができ、このような企業が佐賀県にあることを誇りに思いました。