今回訪問した岩尾磁器工業株式会社は、有田焼の窯元である岩尾對山(たいざん)窯を母体として約80年前に発足しました。耐酸性に優れた磁器原料の特長を活かし、顧客の要望にオーダーメイドで対応できる磁器の総合オートクチュールメーカーとして、主力の化学工業用耐酸磁器は国内シェア80%を誇り世界各国へも輸出するなど、内外から非常に高い評価を得ています。
はじめに、西有田工場へ伺い、耐酸煉瓦(れんが)とセラミックスハニカムの製造の様子を視察しました。耐酸性に加えて耐久性に優れた耐酸煉瓦は、製錬所や化学プラント等の製造現場で利用されています。納入先の設備の形状に合わせて、手作業で粘土を一つ一つ丁寧に仕上げている様子を拝見し、有田焼の造形の伝統に通じるものを感じました。
次に、格子状に多連の穴を有する筒状のセラミックスハニカムの製造の様子を拝見しました。このセラミックスハニカムは、有害ガスを通し、その際に高温で熱することで無害化する燃焼装置の蓄熱材として用いられるものです。蓄熱性や耐熱衝撃性に優れているセラミックスの特性を利用したものですが、さらに岩尾磁器工業の技術を活かしガスに接する面積を広くするため非常に細いハニカム構造にしています。
有田焼の原料や技術が製品づくりのベースになっていることや、高度な成形技術、強度など徹底した品質管理を拝見し、佐賀ならではのものづくりに対する誇りを感じました。
その後、本社のショールームにて、岩尾磁器工業で取り組まれている事業内容について説明していただきました。同社では、有田焼の伝統を活かし、時代の要請に合わせて、磁器製のレリーフ製造から化学工業用耐酸磁器、そして環境装置など、長年にわたり様々な製品を製造されているそうです。さらに、将来的には、これらの技術を燃料電池などの新エネルギー分野へ応用しようと取り組まれており、時代の変化に合わせて、様々な分野にチャレンジし続ける姿をとても頼もしく思いました。
最後に、岩尾磁器工業や十四代岩尾對山窯の皆さんと意見交換を行いました。岩尾社長からは、常に独自の製品を開発し続ける『開発第一』を掲げて顧客の要望にしっかり応えているというお話や、それに伴う苦労についてお聴きしました。また、現場で開発や製造に携わる皆さんからも、ものづくりに対する熱い想いを伺いました。難しい依頼も多いそうですが、一件一件プロジェクトを組み、妥協せずに挑戦し続ける姿勢に、佐賀のものづくりの素晴らしさを再確認しました。これからも、有田焼の技術を活かした製品の研究開発を通して、佐賀県内のみならず、日本そして世界に誇れる企業でありつづけていただきたいと思います。
【山口知事のさー行こう!!】
岩尾磁器工業株式会社を訪問し、長きにわたって培われた有田焼の技術を活かしたものづくりの様子を拝見し、それに携わる方々の想いについてお聴きすることができました。
今後も、県内の企業が、佐賀ならではの技術を武器にして、更に活発な事業活動が行えるよう、後押ししていきたいと思います。
伝統を活かし、新たな技術にチャレンジする佐賀へさー行こう!!