3番目ですが、偏見や差別、誹謗中傷のない佐賀県にしたいという強い思いについて、最後に申し上げたいと思います。
特にハンセン病の差別への贖罪、そして学びを次世代へつなぐということってとても大事なことだと我々は思っています。やはり時代は時代といっても、ハンセン病ということで隔離をされて故郷にも戻れない。そこでずっと青春時代、そして、大切な時期を送らなければいけないということだったり、様々な行為がいろんな形で彼らに非常に厳しい思いをさせてきたということは多言を要しないことでありまして、やはり我々、何と言いましょうか、人というのはどうしてもそういうふうになってしまうところがある。今回、コロナの中でも様々な誹謗中傷が起きてきた。そういうことで、もうそういうことを繰り返さない。少なくとも佐賀県はそういうふうなことがないようにという強い思いを持っています。
このたび、この菊池恵楓園様をコロナ関係でなかなか訪問ができなかったんですが、やっと今回オーケーを得まして、久しぶりに菊池恵楓園を訪問することができました。
これまでは、知事になってからいろんな訪問をして、そうそう、最初の訪問のときに、非常に僕が印象的だったのは、ほとんど出所することができないんだけど、たまに出所することができるときに、この希望の鐘という鐘が鳴っていたんだよねと。あの音が忘れられんという話があったけれども、その鐘はさびついていて、もう音が鳴らないという話があったので、昭和44年まで鳴っていたと聞いていたな。それをもう一回佐賀県の力で再現させてあげたいという思いで、佐賀県がこの希望の鐘を寄贈させていただいたのがこの平成29年でありました。大変喜んでいただいて、ここは熊本なんだけれども、佐賀県がそこまでやってくれたということで、この自治会長、志村さんなんですけれども、非常に喜んでいただいて、自分の故郷の佐賀がそうやって思ってくれているんだということで、我々は中学生、小学生も含めてずっと皆さんと一緒にいるということで、特に浜玉の学校のみんなは毎年行ってくれてたりもしていたので、そういう浜玉中のみんなともこれからも仲よくしたいというお話も伺っております。
希望の鐘も鳴らしてきましたけれども、まだできてすぐですからね、これもしっかりとメンテしながらやっていきたいと思いますけれども、なかなか志村さんにしても増本さんにしても大分高齢化してきましたので、こういう皆さん方のつらい思いというのをしっかりと我々が県民の皆さん方に引き継いでいくということがとても大事だと思っています。
本当にこの偏見、差別というのは何なんだろうかなと思います。
国は今回、全国的な意識調査を初めてやるということで私も評価しているわけですが、ぜひこの調査結果を偏見、差別の解消に生かしてほしいなと思います。今でも偏見、差別に苦しんでいる人がいます。特に、何か特定のハンセン病とかそういう一つ一つじゃなくて、今は本当にSNSとか広まってしまって、いろんなところでそんなことが起こるリスクが高まっている。それは真実、不真実を含めてですね──という社会に我々は生きているということを考えると、改めてこういったところに、原点に立ち戻って、我々がハンセン病に対してどういう対応を人類は、日本国民はしてきたのかということを改めてしっかり考えてみる必要があると私は思います。
ということで、今回、佐賀県では志村自治会長といろいろ連携をしながら、同じ過ちを繰り返さないためにということで啓発冊子を作成させていただきました。ぜひこれから多くの学校、今日は記者の皆さん方にもお配りしておりますが、そういったことも活用しながら、佐賀県らしい啓発の仕方──啓発というか、本当に人があるべき姿、共有すべきことだと思うんですね。だから、そういったことをぜひみんなで共有できるように記者の皆さん方にも、報道の皆さん方にもご支援をいただきたいと思っております。
風化させない、同じ過ちを繰り返さない、ずっと佐賀県は人を大切にする県であり続けたいと思っております。