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吉野ケ里遺跡における石棺墓の発掘調査に関しての知事インタビュー

最終更新日:

発表 

○知事

 お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 令和5年4月25日試掘調査中に石棺墓が発見されました。石棺墓は邪馬台国時代、いわゆる紀元後2世紀半から3世紀半頃のものと我々は考えております。

 そして、その特徴といたしましては、見晴らしのよい丘陵頂部に位置していること、二つ目として、単独で埋葬されていること、三つ目として、墓坑の規模が大きい。いわゆる石棺を据えるために掘る穴の規模ですね。それから、いわゆる「×」とか「キ」といった多数の線刻が施された石蓋であったということ。それから五つ目に、赤色顔料が発見されたということでございます。

 そして、6月5日に石棺墓の石蓋を開口して、その後、丁寧に調査を進めてまいりました。皆さん方にも日々その状況についてはお伝えしてきました。そして、本日の午前中に石棺の底まで掘り下げました。一つ分かったことは、石棺の底にも赤色顔料が確認されました。石棺の内側全体が赤く塗られていたことが判明しました。これは現地の白木原さん、赤色顔料のところが見えますかね。赤くなっているのが。白木原さん、どの辺りですか。──だいぶ遠いようですね。でも、内側は赤いね、ここね。

○県職員

 見た目が少し赤くなっているのが確認できるかと思います。

○知事

 ということから考えて、石棺の内側全体が赤く塗られていたことが分かりました。

 そして、先ほど申し上げたように、見晴らしのいい場所に単独に存在していることなどと併せますと、邪馬台国の時代の有力者の墓であることは裏づけられたと考えています。

 そして、試掘の結果なんですけれども、長い間、酸性土なんですけれども、土の中にあったために、骨は溶けて残っておらず、副葬品も発見されませんでした。

 これはまず人骨ですけれども、被葬者を横たえる底の部分は土のままであったために、長い年月の間に分解されてしまったんではないかと考えています。ほかにも、例えば、絹織物とか当時の服ですね、そういったものも有機物です。そして、貝の腕輪とか、そういったものも有機質のものでありますから、こちらのほうも人骨と同様に分解されてしまったのではないかと見られます。逆に言えば、刀とか青銅器などの金属類ですね、これがもし埋葬されていれば、こちらのほうは分解されることがないので残っているはずなのですが、見つからなかったということは元から副葬されていないものと判断できると思います。

 本当はそういった鏡とか刀とか、そういった副葬品が残されていれば被葬者の身分、社会的地位、埋葬された時代がより確定できたかと思うと、残念に思っています。

 しかしながら、今回の発見と調査は私たちを古代ロマンへと駆り立ててくれました。特に、全国的にも例がない墓の石蓋に刻まれた線刻にはどんな意味があるんだろうですとか、幅が36センチと細い石棺ですね。私だと50センチぐらいあるわけですけれども、36センチというとどうなんでしょう、かなり小さい、普通、女性と考えられますが、それをさらに100キロを超える石蓋が上に乗っかかっているということでありますから、そういう小さな体を100キロを超えるような石蓋で封じ込めたというのはどうしてなんだろうか、こんなことを全国の皆さんとともに高揚感を共有できたというのはうれしく思っております。改めて吉野ヶ里遺跡の価値の高さ、すばらしさを実感いたしました。

 そして、この石棺墓なんですが、これからいろいろ土壌の分析ですとか石材の鑑定、それから赤色顔料の分析、こうしたものを行っていきたいと思います。そこからまた分かってくるものもあるのではないかと思っています。

 そして、さらに申し上げると、これから謎のエリア、これで大体6割を調査したことになるわけですが、まだ4割は未調査でありますので、令和5年度のうちに残りの4割のところ、そこからまた何か出てくるのかどうかといったことも含めて、まだまだ発掘をしていきたいと思うので、そこは期待していただきたいと思います。

 もうちょっと石棺墓を見られますかね。アップになりますか。まさに、この石棺墓の発見というのは非常に我々にとってはとても大きな出来事であったわけですが──白木原さん、聞こえますか。

 これは多くの皆さん方に実際近くで見ていただくということは可能なんでしょうか。

○文化財保護活用室長

 はい。ぜひそうして皆さまに見ていただきたいと思っております。

○知事

 でも、これは準備とかがあるので、大体どうですか、今月中といったら無理かな。

○文化財保護活用室長

 いいえ。現場の状態は良好ですし、十分可能だと思っております。

○知事

 であれば、通常土日ということになりますと、24日、25日ということであれば、現場は対応できますか。

○文化財保護活用室長

 はい、可能です。

○知事

 であれば、6月24日、25日の土日にぜひ皆さん方にお越しいただいて、この石棺墓を実際に見ていただきたいと思っています。

 最後に、白木原さん、特に1週間は緊張を強いる作業でお疲れさまでした。

○文化財保護活用室長

 ありがとうございます。

○知事

 まずは、この石棺墓を皆さんに見ていただくように準備方よろしくお願いいたします。

○文化財保護活用室長

 はい、承知いたしました。

○知事

 ということで、24日と25日に、まさに世紀の発見と言っていい吉野ヶ里遺跡の石棺墓を見ていただく機会をつくりたいと思います。

 これから残りの謎のエリア、残りの4割に向けてさらに調査を進めていきたいと思いますので、これからも古代ロマンへの関心をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。


質疑

○西日本新聞

 まず、今回、県として、みせる発掘調査ということで、積極的に進捗状況を公開しながら、事前に一般公開もしてきたと思いますが、そういった今回の手法に対しての手応え、あるいは課題があれば。

○知事

 そうですね、まさに今こういうネットの時代で、SNSというものもありますし、この石棺墓が見つかったということで、一体、中はどうなっているんだろうかという高揚感を皆さんと共有できたんだと思います。でも、実際に、これまたリアルな話で、本当は我々のほうが隠れたところで調査をするわけだけれども、今回皆さんとそういう気持ちを共有したことで得られたものは大きいと思っていて、特に今回は現場で頑張っている、細川さんもそうだけれども、日々、非常に丹念で、意外とこう、ある部分地味な作業がずっと続くわけだけれども、そういったみんながこうやって頑張っているという姿を皆さん方に知っていただく──白木原室長もそうですけれども──というところは非常に価値があったのではないかと、現場の士気はだいぶ高まったということで、これからさらに頑張りますということでありましたので。

 ただ、課題というか、何でしょう、みんなで何か出てくるのかなって、私も含めて期待したわけですが、結果は、分からない中で、まさにリアルな世界を、ずっと発掘調査を見ていただいたので、実際、副葬品がなかったというのは極めて残念だという印象を持ちました。

○共同通信

 さっき知事は、石棺全体が、底からも顔料が見つかって、全体に塗られていたので、有力者の裏付けになったというふうにおっしゃいましたが、これまで側面から見つかっていても、現場の室長とかは、それだけで有力者だとは言えないというふうにおっしゃっていました。それが、一気に底から見つかったことで飛躍しているようにも感じますが、その発信の方法は適切なんでしょうか。

○県職員

 それに関しては私のほうから。

 当然、赤色顔料は他の石棺からも出ていますが、極めて限られております。そういうことも含めてまして、今回は総合的な見地、先ほど知事が説明されたように場所の問題ですね、丘の上に見晴らしのいい場所にある、単独である、あるいは特異な線刻を持つということで、まずそこまでが掘る前の発掘調査の状況です。そして、掘った後の状況が、赤色顔料が蓋だとか石の部分に付着していることが分かったわけです。

 こういったことを総合的に勘案して、今回は有力者というふうにしています。だから、赤色顔料一つで決めているわけではございません。

○共同通信

 そうすると、既に側面から見つかった段階でも有力者というふうに言ってもよかったと思うんですが、なぜこのタイミングで裏付けられたというふうになるんでしょうか。

○県職員

 今日は最終的に、現地で見ていただければ分かるかと思いますが、調査のほぼ終了、底の部分まで確認ができて、そして、赤色顔料の有無も確認できたと。また、こういったことをテレビだとかで見ていただくということもありまして、最終的な結論として報告をしています。

○知事

 実際、昨日の夜の段階では、何か出てきたとき出なかったときの両面で用意していたんです。だから、今朝ですかね、最後の底の部分を掘ったので、そういった意味で、底からも赤色が出てきたということが一つの情報であったということでありました。

 この間も、いろんな皆さん方のご意見も寄せられていますので、諸説、学説いろいろあるから古代ロマンなんだろうと我々は思っているんですが、そういう議論もこれからさらに進めばいいかなと思っています。

 以上です。



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