かつて佐賀県でも、ハンセン病に対する誤った認識から、ハンセン病患者の方々を差別していた過去があります。
この冊子は、患者・元患者及びその家族の方々が非常に厳しい運命を強いられ、つらく悲しい思いをされてきたことを重く受け止め、「二度と同じ過ちを繰り返さない」という想いのもと、作成しました。
私は、平成28年1月、国立療養所菊池恵楓園(きくちけいふうえん)を訪れました。
佐賀県出身の入所者の方々は、これまで大変つらい思いをされていたにもかかわらず、私を温かく迎え入れていただき、ふるさと佐賀の様子や昔話など、たくさんの話をしてくださいました。
療養所を囲うように建てられた「壁」があったこと、療養所を退所される方が鳴らされていた「希望の鐘」のこと、この鐘には、残された方々の「いつか、故郷に戻れる日が来るかもしれない」という希望が込められていることなど、入所者の方々の様々なお気持ちを考える中で、私は、こういうことがあっていいのだろうかという思いを痛切に感じるとともに、長い間、差別してきたことへの反省と、二度と同じ過ちを繰り返さないという想いを県民の皆様と一緒に持ちたいと考えるようになりました。
そして、平成29年に佐賀県は、老朽化して鳴らなくなっていた「希望の鐘」を復元し、音色はよみがえりました。
どんな時代にあっても、差別や偏見は絶対にあってはなりません。
私たちは、過去を決して風化させず、二度と同じ過ちを繰り返さないという意思を未来に繋いでいかなければなりません。
一人一人が他人を思いやり、助け合うことのできる佐賀県だからこそできるはずです。
佐賀県はこれからも、人を大切にする県であり続けるとともに、差別や偏見のない社会づくりに力を尽くしてまいります。