昭和36年に創業の「株式会社深海商店」は、陶磁器の染付に使う鉱物質の顔料「呉須」をはじめとした色絵具や釉薬などの窯業資材を製造・販売しています。
後継者の深海家13代目、深海宗佑さんは、大手経営コンサルティング会社での経験を経て、令和3年にUターンしました。令和4年、岩尾玄樹氏とのコラボで呉須を用いたアパレルを作り、「呉須×_(ゴスカケル)」プロジェクトをスタート。その後、ジュエリーや家具とも続々とコラボしています。令和5年3月に開催したArita
Diningでは、有田焼誕生から現代までの歴史と変遷を知るツアーや有田焼の器での食事、窯元巡りを通じて、参加者に伝統産業のダイナミズムを伝えるなど、様々な取組を大胆に仕掛けています。
初めに、「呉須」に関するクイズに挑戦し、呉須とは何かを教えてもらいました。呉須は、磁器の染付に使う藍色の顔料で、酸化コバルトを主成分とし、混ぜ合わせる鉄やマンガン、クロムの調合分量によって緑から茶色のような色味まで、大きく変化します。化学変化によって、絵付時と焼成後でも色が異なり、深海商店では約300種類もの微妙に異なる色の呉須を製造していると聞き、その多さに驚きました。
次に、実際に呉須を製造している工場を見学しました。調合から出荷まで1カ月かけて、六つの工程で丁寧に製造されている様子を見ることができました。特に、最終工程の微粉砕では石臼で1週間もの間すりつぶすことで、呉須の粒子を1mmの1/1000である1㎛(マイクロメートル)まで細かくすることに感心しました。この作業によって、絵付の筆がとてもスムーズに流れるそうです。品質へのこだわりを強く感じました。