担当課の回答(令和5年10月27日)
今回の防衛省の駐屯地整備事業は、佐賀県環境影響評価条例の「宅地その他の用地の造成事業」に該当し、その造成面積が35ヘクタール以上の場合は、環境影響評価の対象となります。
佐賀県環境影響評価条例上の「事業」とは、条例第2条第1項に「特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築」と規定されています。
そして、複数の事業が「特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更等」に当たるかどうか、いわゆる事業に一連性があり、造成面積を合算するかどうかの判断については、事業の目的が同一であり、かつ、構想及び決定の時期が同一か否か等により、総合的に判断することになります。
佐賀県環境影響評価条例に基づく、環境影響評価の取扱いについては、国の環境影響評価法の取扱いに準ずることとしており、事業の一連性についても、環境影響評価法の考え方に準じて取扱っているところです。
事業の一連性の判断も含めて、環境影響評価の実施の判断は、一義的には事業の実施主体が行うものです。
その上で、駐屯地整備事業の実施主体である防衛省は次のように説明しています。
<防衛省の説明>
(目的について)
・駐屯地整備事業は我が国安全保障の観点から、陸自オスプレイ等を配備することを目的としている。
・一方で排水関連施設は、佐賀県有明海漁業協同組合からの要望を踏まえ、佐賀空港及び周辺地域全体の治水・排水対策を行うことを目的としている。
(構想及び決定の時期について)
・駐屯地整備事業は、平成28年6月の公表資料により現計画の構想を示し、その後の基本検討の中で配置計画や規模等を整理し、令和5年5月に造成面積を決定した。
・一方の排水関連施設は、県と佐賀県有明海漁業協同組合との公害防止協定の見直しに際しての令和4年11月の回答書をもって検討する必要性が生じたものであり、現在防衛省と県と佐賀県有明海漁業協同組合で検討中のものである。
(なお、その後防衛省が提案した計画案が令和5年9月28日に漁協の了解が得られ、現在防衛省により詳細設計が行われている。)
・駐屯地整備事業と排水関連施設とは事業の目的が異なり、また、構想及び決定の時期も異なることから、これら2つの事業の一連性はない。
・以上により駐屯地整備事業の造成面積は34.1ヘクタールであり、環境影響評価の対象にならないと考えている。
<県の考え>
・上記の防衛省の説明を受け、環境省にも考えを聞くなどして検討をした結果、駐屯地整備事業と排水関連施設は事業の一連性はないものと考えられる。
・したがって環境影響評価の実施の要否についてはそれぞれの造成面積により判断する。
・駐屯地整備事業の造成面積は34.1ヘクタールであるため、環境影響評価の対象にならない。
<根拠>
○佐賀県環境影響評価条例(抜粋)
第2条 この条例において「環境影響評価」とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。)並びに工作物の新設及び増改築をいう。以下同じ。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。以下単に「環境影響」という。)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。
○環境影響評価法逐条解説(抜粋)
実施する事業の「一連性」の判断については、工事の実施場所や時期によるものではなく、事業の目的が同一であり、かつ、構想及び決定の時期が同一か否か等により、総合的に判断されるものである。(以下省略)