佐賀城本丸歴史館の御玄関に「鼓の胴の松飾り」の飾り付けを行います
佐賀城本丸歴史館では、平成16年(2004年)の開館以来、毎年お正月の時期に、江戸時代に佐賀藩邸に設置されていた「鼓の胴の松飾り」の飾り付けを行い、来館された方にお楽しみいただいております。
「鼓の胴の松飾り」は、楽器の「鼓」(つづみ)に似た形からこのように呼ばれており、高さ80cm、幅120cm、重さは50kgほどあります。鼓の胴の部分は稲わらを束ねて作られており、子孫繁栄を願いユズリハやダイダイが添えられます。
今年もお正月の準備のため、下記のとおり飾り付けを行います。
記
1 飾り付け日時 令和5年12月15日(金曜日)9時30分頃から作業開始
2 展 示 期 間 令和5年12月15日(金曜日)から
令和6年1月16日(火曜日)まで
3 場 所 佐賀城本丸歴史館 御玄関
4 製作・飾り付け 佐賀市蓮池町「鼓の胴の松飾り保存会」の皆様
|
鼓の胴の松飾りと「鼓の胴の松飾り保存会」の皆様(昨年度の飾り付けの様子) |
鼓の胴の松飾り(つづみのどうのまつかざり)
1638(寛永15)年、江戸幕府は西日本の諸大名を総動員し、一気に原城を攻撃し島原の乱を鎮圧した。その勝利のきっかけを作ったのが、佐賀藩の一番乗りの武功であった。しかし、そのことが逆に軍令違反とされ、同年6月29日、藩主鍋島勝茂は幕府への出仕を止められ、謹慎処分を受けることとなった。
年末を迎えた佐賀藩邸では正月の松飾りなどせず、ひっそりと正月準備をしていた。ところが、年も押し迫った12月29日、突然この謹慎処分が解けた。質素な正月の準備をしていた鍋島家では、門松などの正月飾りは用意しておらず、困惑してしまった。
そこでかねてから出入りのあった荒物屋彦惣に、松などの材料を集めさせ、それらと納屋にあった米俵などのわらを使い、にわかに松飾りを作らせたところ、その松飾りの形が鼓の胴部に似ていたことから「鼓の胴の松飾り」といわれるようになった。
この松飾りは、大変評判がよく、これを吉例として以後踏襲されることとなり、明治時代までは、佐賀県庁や佐賀市役所にも飾られていた。その後、佐賀の伝統的な正月飾りとして地域に継承されることとなり、その継承者である「鼓の胴の松飾り保存会」に、本館での飾り付けに御協力いただいている。