原子炉の中にはウランの入った燃料棒のほかに、減速材、冷却材や制御材などが入っています。
燃料
原子炉で用いられる核燃料は、ウランが最も広く用いられています。
鉱山で発掘されるウラン(天然ウラン)の組成は原子の重さが235のもの(ウラン235)が0.7%、238のもの(ウラン238)が99.3%ですが、ウラン235は核分裂しやすく、ウラン238は核分裂しにくいという性質があります。原子炉で燃料として用いる場合には、原子炉の型に合せ、天然ウランを用いる場合と、ウラン235の割合を2~4%程度に高めて用いる場合があります。
玄海原子力発電所は後者にあたります。
減速材
核分裂の連鎖反応がうまくいくためには核分裂によって出てくる中性子の速度をおとしてやる必要があります。
この中性子の速度をおとす役目をするのが減速材です。
発電用の減速材としては、軽水(普通の水)、重水(天然の水の中に0.015%程度含まれている少し重い水)、黒鉛などがありますが、我が国の原子力発電所のほとんどは軽水を用いています。
冷却材
核分裂によって発生した熱を取り出す役目をするのが、冷却材です。
冷却材は熱を運びやすい物質であるとともに、核分裂をさまたげないよう、なるべく中性子を吸収しない物質である必要があります。
そこで普通は、重水を減速材としている原子炉では重水を、また軽水を減速材としている原子炉では軽水をそのまま冷却材に用いています。黒鉛が減速材になっている原子炉では、炭酸ガスやヘリウムなどの気体や軽水を冷却材に用いています。
制御材
原子力発電の場合は、長時間使用する燃料を原子炉の中に入れてあるので火力発電のようにボイラーへの石炭や石油の供給量を加減して炉の出力を増減することができません。そこで、核分裂のカギとなっている中性子の量を調節することによって燃料の燃え方を制御します。
制御材としては、カドミウム、ホウ素など中性子を吸収する物質が用いられます。
制御棒は、これらの物質を合金や化合物の形で棒状に成形したものです。
また、玄海原子力発電所のような加圧水型の炉では、制御材として制御棒とともに、冷却材中に溶かしたホウ酸が用いられています。