【以下、面談時の発言全文】
○武田防衛副大臣
それでは、おはようございます。早朝から大変貴重なお時間をいただきましたことにまず厚く御礼申し上げたいと存じます。
また、今回、この件に関しまして、事実と反する一部報道がなされたことに関し、我々も非常に残念に思っておるところでありますけれども、それに関連し、知事はじめ関係者の皆様方に大変ご迷惑をおかけしましたことにも深くおわびを申し上げたいと思っております。
今回お邪魔させていただきましたのは、17日に当初、小野寺(防衛)大臣のほうから古川知事のほうに概略ご説明をされたと思うんですけれども、課題となっております陸上自衛隊の水陸機動団の所有しようとするオスプレイのようなティルトローター機の部隊をぜひとも佐賀空港に配備させていただきたい、具体的には佐賀空港に隣接する場所に駐機場を整備し、離着陸には佐賀空港の滑走路を使用させていただきたいと思います。
またあわせて、市街化が進む目達原駐屯地に配備されておりますヘリコプターにつきましても、佐賀空港に配備したいと思っています。
したがって、配備の規模としましては、水陸機動団のティルトローター機17機、目達原のヘリコプターが約50機、駐屯する隊員は700名から800名程度を考えております。
また、沖縄負担軽減のために佐賀空港を活用させていただきたいと思います。
米海兵隊に佐賀空港を利用させることも政府としては視野に入れております。
米軍普天間飛行場が辺野古に移設されることに、このこと自体に変わりはありませんけれども、沖縄県の仲井眞知事は、普天間飛行場の5年以内の運用停止を強く求めておられます。これは米軍運用の話なので、我々が断定的なことを申し上げることはできませんけれども、沖縄県の強い要請に応えるためにも、暫定的に辺野古が完成するまでの間、佐賀空港を利用させていただくことも考えております。
これが実現する場合でも陸上自衛隊の航空機、そして米軍の航空機、合わせて今回整備しようとする駐機場の最大規模70機程度を超えない範囲で調整することを想定いたしております。
具体的な施設といたしましては、空港の西側に20から30ヘクタールの駐機場、そして、所要の格納庫等の関連施設、また、駐機場と滑走路等を結ぶ誘導路を整備させてもらいたいと考えております。
このため、必要な用地の購入を考えておりまして、平成27年の概算要求に所要の用地取得費用等を計上する予定といたしております。
具体的な佐賀空港の利用形態についてではありますけれども、本格的な訓練は演習場等で行うので、佐賀空港で行うことはございませんが、離発着訓練、そしてまた、演習等への出入りに利用させていただきたいと思っております。
また、空港使用予定時間につきましても、基本的に空港管理条例に沿って利用させていただきたいと思います。
我が国の安全保障、そして、防衛のあり方というものを真剣に検討したときに、陸上自衛隊の水陸機動団のティルトローター機等の配備先としましても、また、沖縄の負担軽減のためにも、佐賀空港を利用させていただくことがベストであるということを政府として判断をさせていただいたところであります。
今、我々の方針、そしてまた知事はじめ、皆様方にご理解をいただきたい旨について概略説明を差し上げた次第でございますけれども、忌憚ないご意見を出していただければと思っております。ありがとうございます。
○古川知事
佐賀県知事の古川康でございます。
まず、冒頭に武田副大臣からお話がございました。事実とは違う報道についてのご発言でございますが、本当に私どもとしては困っておりまして、事実とは違うことが、しかも報道によればでございますけれども、政府関係者によればということになっておりまして、なぜその事実と違うことが政府関係者の口から出るのかということが全く理解できません。このことについては、本当に遺憾に思うところでございます。
このことについても、いろいろ申し上げたいこともございますけれども、時間がございませんので、早速先ほど副大臣がお話になった事柄について、私どもの現時点での考え方、思いについてコメントをさせていただきます。
佐賀空港は、昭和44年に当時の知事が川副町への建設を表明して以来、完成まで約30年かかりました。この間、当時は水俣病の問題なんかもございまして、環境汚染を心配する地元の方々、漁民の方々、そういった方々からの非常に激しい反対があったことも事実でございまして、この間、二度にわたって事業の中断を余儀なくされております。
そうした中、先人たちの努力、そしてこの佐賀県に空港をつくることで地域の発展と利便性の向上につなげていきたいという思いがなんとか結実をして、平成10年7月に県営空港として完成したものでございました。
この間の先人たちの努力や苦労というお話は、私どももいろんな形で聞かされておりますし、それに至るまでに地元の方々にどれだけ協力をしていただいたのかということもひしひしと感じているところでございます。
その様子は今も変わりません。今も地元の方々の理解を得て、安定した利用が保たれております。地元の関係者の方々はもちろんですけれども、佐賀市(当時の佐賀郡)、今はもう佐賀市になりました。佐賀市、柳川市はもちろんのこと、さまざまな関係者の方々の深いご理解でこの空港は支えられていると考えております。
この佐賀空港については、おかげさまをもって、昨年度、利用者の方が過去最高の37万2,000人を記録しております。また、最近4年間の東京便の利用者の増加数、これは絶対数ということでございますけれども、6万9,582人、増加数が約7万人あったということでございまして、これは全国48空港の羽田路線の中のトップになっています。ANAの社長さんからも利用者数が着実に増えている、全国的に珍しい空港だという高い評価をいただいています。その結果、去る7月1日に東京便は5便化になったところでございまして、さらに来月の1日からは成田便が1日2往復就航することになっています。
一方、国際線については、週6往復でございますけれども、これは九州の8つの空港の中で3番目に多い数でございます。
このように、佐賀空港は既に国際、国内を問わず九州における玄関口の役割を果たしているところでございまして、私どもとしては、ポテンシャルが高いということで、これからは九州やアジアにおけるLCCの拠点空港として、より大きな役割を担っていく空港にしたい、そのような強い思いを持っている空港でございます。
申し上げているように、長く重い歴史と大きな可能性を持っている佐賀空港、この佐賀空港が今回、今ご提案のあった自衛隊などが利用されるということによって、多くの人々がこれまで流してきた汗や涙、さらにはLCCの拠点空港としての佐賀空港の可能性を期待している人たちの期待を裏切ることがあってはいけない、このように考えているところでございます。
また、佐賀空港に関しては経緯もいくつかございます。
1点は、公害防止協定でございます。さまざまな形で公害防止協定を結びましたが、そこの中に覚書、附属資料というものがございまして、そこの中では、県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない旨を記載しております。また、平成22年3月には佐賀県議会が米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議をされました。
このほか、県民生活の安心を守る私の立場ということもございます。原因のいかんを問わず、県民生活の安心を守ることは私の責務であり、県民の中には、今回のことが報じられて以来、なぜ佐賀空港なんだろうかという疑問であるとか、オスプレイというものが来そうだけれども、本当に安全なのか、騒音はどうか、こうしたものができることによって攻撃目標になってしまうのではないか、こうした不安の声が寄せられております。
こうしたことについて政府として責任を持って地元の関係者をはじめ、県民、あるいは私ども県に対して十分説明をして、理解を得るとともに、県民生活の安全を確保してもらうことが必要だと考えているところでございます。
取り急ぎ私からは以上であります。
○武田防衛副大臣
今、知事からご指摘いただきました点でありますけれども、県民の皆様方が佐賀空港に対する強い思いを持たれているということを、我々も十分承知をいたしておりますし、また過去において、この覚書については、私、詳細な中身ということまでは掌握していないわけでありますけれども、公害防止協定等、さまざまな経緯というものがあったことについては承知をいたしております。
その中で、我々の要望というものを実現するにあたりまして、騒音、そしてまた安全対策等については、近隣住民の方々に不安を抱かせることのないように、万全を期すことというものをお約束いたしたいと思っております。
また、今後この話を協議、また進める上で、ご懸念の点、そしてまた明らかにしておかなければならない点等ございましたら、今後随時お尋ねをいただければ、いずれの点につきましても真摯に、かつ誠実に我々は対応をさせていただきたいと、このように思っております。
○古川知事
ちょっとすみません、確認をさせていただいていいですか。
私ども一番の強い関心事は、民間空港としてこれからも発展させていかなければいけない佐賀空港が、今回のお申し出によって、民間空港としての利用の妨げが生じてくるのではないかということが非常に心配なんですね。その点についてはいかがなんでしょうか。
○武田防衛副大臣
民間空港としての能力というものを我々が阻害するということは、これはあってはならないことだと思っておりますし、そうした部分に対する配慮というものは、我々は当然していくつもりであります。
また、いろいろな運用面等につきましても、当然今から佐賀県の皆さん方と相談をしながら進めていきたいと思っておりますので、あらゆる角度からの忌憚のないご意見を寄せていただきますこともあわせてお願いいたしたいと思います。
○古川知事
今、配慮という言葉をいただきましたが、基本的に自衛隊の空港に民間機が入っていって使っている場合には、まさに配慮をしていただくということになろうかと思いますけども、佐賀空港は県営空港でございます。設置者、そして管理者は私どもでございますので、そこは配慮ということではないということだということは、まず申し上げておきたいと思います。
それと、もう最後、時間的な関係であと1点になるんですが、この米軍の利用について、具体的なイメージが今のお話ではあまり湧いてこなかったんですが、1点だけお尋ねすると、今回のご提案は、普天間基地の佐賀空港への移設なんでしょうか。
○武田防衛副大臣
普天間空港(基地)の佐賀空港の移設ではありません。
○武田防衛副大臣
はい。普天間は、辺野古への移設、これは、この方向性は一切変わりはありません。先ほど申しましたように、沖縄県知事が要請しております5年以内の運用停止、これは米軍の運用という、我々では手が届かない部分もありますので、辺野古が完成するまでの間、暫定的な利用をさせていただく可能性というものがあるということであり、普天間基地が佐賀空港に移転するということは決してございません。
○古川知事
ちょっと開始の時間が遅くなったので、予定よりも短くなってしまっているんですが、次のご予定もおありになると伺っております。繰り返しになりますけれども、佐賀空港は民間航空機が自由にできる空港でございまして、これの今後、路線拡大、便数の拡大、LCCの拠点空港としての発展、こういったことに支障があってはならないと思っております。今はまだ意を尽くしていない部分もございますので、今後とも引き続き、さまざまな形で確認をさせていただきたいと思っております。これとあわせて、副大臣からもございましたけれども、県民が抱いているようなさまざまな不安な点、わからない点が多々あるかと思います。
これらの点についても質問をさせていただきますので、誠実なお答えをお願いしたいと思います。
本日は、現時点での政府の考え方をお伺いしたということとさせていただきたいと思います。
○武田防衛副大臣
大変貴重な時間をいただきましたことを、厚く御礼申し上げたいと思います。
今後、我々も誠意を持って対応してまいりますので、忌憚のないご意見をお寄せいただきますことをお願い申し上げたいと思います。本日はまことにありがとうございました。