質疑応答:佐賀空港の自衛隊使用要請関連
○西日本新聞
オスプレイの件でお尋ねいたします。
22日に副大臣と面会されましたけれども、その後、政府や防衛省関係と県との間でなんらかのやりとりがあったのか、教えてください。
それから、今後の検討や協議はどう進められるのか、お願いいたします。
それから、大きく2点目ですが、今回、自衛隊のオスプレイを佐賀空港に配備したいという要請のほかに、もう1つ、アメリカの海兵隊による暫定利用というようなこともありました。事前に大臣は知事のほうに電話をされたということですけれども、アメリカの海兵隊による暫定利用についても大臣のほうから言及があったのかどうか、これもあわせてお願いいたします。
○古川知事
まず、1点目でございます。副大臣が来られた後、防衛省サイドとやりとりがされているかどうかということでございますけれども、来週の月曜日に実務レベルでの打ち合わせをしたいということで佐賀に来られるようになっていると聞いています。県庁だけ来られるわけではなくて、有明海漁協とか、そのほかどこに行かれるのかは私は存じ上げていませんけれども、そういう関係方面を回られるのではないかと思っております。
それが1点ですね。
あと2点目、今後にどのように検討していくのかということですが、県庁の中に関係しそうな課を集めた検討チームをつくりましたので、ここでそれぞれ今回の提案に関して、関係しそうな事柄について、まずは自分たちで勉強をしていくということになるだろうと思っていますけれども、とにかく関係者を集めたチームを発足して、これからの対応について検討をしていくということになります。
それと、自衛隊、オスプレイの話ではなくて、米国の海兵隊の暫定的な移転の話についても大臣から話があったのかというお尋ねでございますが、(話は)ございました。
防衛大臣からあったのは、副大臣がおっしゃっていた内容と全く一緒だと理解をしております。大きく3点の話がありました。1点目が陸上自衛隊の水陸機動団の航空部隊の配備先として佐賀空港を活用したい、2つ目が目達原駐屯地のヘリについても佐賀空港に配備をしたい、そして、3点目が沖縄の負担軽減のために暫定的に米軍に活用させることも視野に入れている、こういう内容であったかと思います。
そのときに具体的に普天間基地のオスプレイがどうのこうのというところまで詳しくあったかはどうか、ちょっと私はきちんと覚えていないんですけれども、内容的にはこの3つでありました。
○西日本新聞
知事は以前から、政府が真剣に検討をされた話ならば真剣に聞くというお話をされていましたけれども、今回の件について、真剣に判断した結果だというふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。その点どう判断されているのかをお願いいたします。
○古川知事
私は、政府が真剣に検討をしたということだろうと考えています。
1つは、国の国防政策の最高責任者である防衛大臣が、ご自身が私に連絡をとられて、具体的な話については副大臣から聞いてくれということではございましたけれども、大まかにご提示された内容についてお話があったということでございます。この最高責任者が直接私に対して、このような申し出をされたということ、それと、ほかに候補地があって、候補地の一つなんでしょうかということもお尋ねしましたけれども、いいえ、候補地の一つということではなくて、どうしても佐賀にお願いしたいということですというお話がございました。
こうした事柄を考えて、私は、これは政府として真剣に考えられたんだなという印象を持ったということでございますし、副大臣のお話をお伺いする中でも、もちろんお話の内容そのものについて賛成をするというこではないにせよ、真剣に検討をされた結果であるという印象を受けたところでございます。
○日本経済新聞
私もオスプレイに関して2点質問がございます。
まず1点は、知事が説明を受けられた後に、佐賀空港はLCC拠点化として発展を目指しているんだと。民間利用に対する阻害が生じるのではないかという懸念を示されていらっしゃいましたけれども、政府から説明を受けた後に、利用者である全日本空輸であるとか、春秋航空日本に対して、なんらかの説明をなされたかどうか。あるいは逆に両者から県のほうになんらかの質問といいますか、状況をお尋ねになるようなことがあったかどうかということについてまず1点。
もう1点は、こういう話が政府からあって、県として検討する中において、知事は早ければ9月にもご自身の去就を明らかにするというふうなことを常々おっしゃっておられるかと思うんですけれども、この時期について、この判断がなんらかの影響を及ぼすことというのはあるんでしょうか。
以上2点お願いします。
○古川知事
まず1点目が、私どもが一番の関心事ともいえます、これまでと同様に民間航空機が自由に使える空港として位置づけられ続けるのかということに関して、利用者であるANA初め関係のところにはお話をされましたかというお尋ねであったかと思います。担当のほうからいたしております。今そのときの結果がどうであったかということを、ちょっと正確を期すために探しているところでございますが、私が報告を受けた印象では、こうして説明があったということについて、比較的ということでございますけれども、冷静な受けとめをされていたという印象を持っておりますが、
(資料を)きちんと見ていないので正確かどうかはあれですけれども、ANA、そして春秋航空、そして春秋航空日本、さらにはティーウェイ航空に対しても、今回このような提案があったということに対する事実を伝えるとともに、私どもとしては、民間航空機が自由に使える空港であるかどうかということについて、最も高い関心を持っているんだと。そのことについて、これから国に確認を求めていく、そういう話を受けたところでございます。それらに対して受けとめは、それぞれであったかと思いますけど、基本的には、今の時点でだからなんらか大きな変化があるとかいうことではなく、ご説明についてはわかりましたということで、今後の成り行きに注目するような形のお話ではなかったかなと思っております。
あともう1点ですね、私自身の去就との関係でございますけれども、ちょっと悩ましくて、今の段階で関係があるともないともどうだとも、ちょっとまだそこまで整理ができていない状況です。全般的に申し上げまして、この問題が出てきてから、いろんなことを我々なりに整理しようとは思っておりますけれども、今の段階でこれからどうしていくのかということについても極めて明確に整理ができているかというと、そこまでは至っておりませんで、私自身のことについても現時点ではこれまでの考え方に違いはないと言えばそうなのかもしれませんが、これから影響というか、なんらかの形で影響してくる可能性はゼロとは言えないだろうと思いますし、それについてはもうちょっと考えさせていただければと思います。
○読売新聞
正式な打診があってから3日ほどたちまして、その間どんな影響があるかというのを庁内でいろいろ検討されていると思うんですけれども、その中で見えてきた民間路線、民間空港としての機能を維持するために、今回の提案がどんな支障となるのか、そこら辺の整理が今のところどういうことが支障になってきそうだとわかってきたのか、それを教えていただけますでしょうか。
○古川知事
今の段階でどんなことが支障になりそうなのかというところまで明確にわかったことはないんですが、わかったこともあります。それは佐賀空港は県管理の空港ですけど、県管理の空港を自衛隊が使っている例がないのかということについては、この間に調べました。それでわかりました。それがわかったことです。
地方管理、県管理の空港で自衛隊が日常的に使っているというものは2つございました。1つが秋田空港です。ただ、これは国が設置した空港で、県が管理しているという空港でございました。一方、セントレアができた後、名古屋の小牧空港というのがございます。これはセントレアとは違う小牧市にあるわけですけれども、これは県が設置をして県が管理している空港でございます。この2つの空港で県が管理をしている空港で、自衛隊が日常的に使っているという空港であるということがわかりました。ですので、この2つの空港について、自衛隊が使っているということで支障が生じてないかどうかということを私ども、これから調べていきたいと思っています。
なおということでありますが、国交省が管理している国管理の空港では4つございました。新潟空港、福岡空港、熊本空港、那覇空港の4空港でございまして、これは防衛省ではなく、国交省が管理している、国の空港で自衛隊が日常的に利用をしているという空港でございました。場合によっては、こうしたところも参考になる部分があるかもしれません。
○読売新聞
わかりました。確認なんですけど、確かめようと思うのは、この民間空港の、例えば、降りるときに自衛隊機が訓練していたというときに、自衛隊機のほうに待っていてくれということは言えるのかどうか、そういうことも考えていくということですか。
○古川知事
いろんなことを聞いていきますので、今のように民間機の待機が日常的に発生しているのかどうかとか、そういったところも含めてお尋ねをしていくことになります。
○STS
防衛大臣が本日から長崎の佐世保を訪問するんですけれども、それに関連して、いずれかの場所で面会されたり、お話をされたりする考えがあるのかどうか。
また、国側から今回の訪問に関して、佐賀空港を見たいとか、そういう投げかけが既に県にあるのかどうか、その点を教えていただけますでしょうか。
○古川知事
防衛大臣が今回、佐世保に行かれるんですね。佐世保に行かれる折に私と面会する予定があるかどうかということについてお答えすれば、それは面会の予定は、少なくとも私は聞いておりません。
2つ目でございますが、視察をされる予定があるのかということについてでございますが、特に防衛大臣が視察をされるということになれば、私にも連絡があることになると思います。実務レベルはわかりませんが、私の耳には入っておりませんので、恐らくはそういったことはないのではないかと思っております。ただ、実務ベースの話は、全て私が把握しているわけではないのでですが、そういう高級レベルというか、大臣レベルでのご視察といったものは予定されてないと理解をしております。
○NHK
2つオスプレイに関してお聞きしたいんですけれども、1つお話の中に先ほどあった調査チームですね、よりちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、先ほどほかの空港を参考にしてそこを調査してというふうなお話だったので、これも1つなのかもしれないんですけれども、より具体的にどういったことを勉強するというお話がありました、勉強したりですね、対応するために今後どういうふうにやっていくかということと、それと、そのチーム自体ですね、これは例えば、どういう課から、関係の課というふうなお話がありましたけど、関係の部署というお話がありましたけど、どういうところから成り立っているものなのかということですね、それをちょっとお聞きできればなと思います。
○古川知事
まず、対策チームでございますけれども、総括政策監をリーダーとして、総括責任課を政策監グループの企画担当として設置をいたしました。名前は佐賀空港自衛隊使用対策チームとでも言うべき名前になると思います。今からもう口頭で申し上げますが、これについては、後ほどメンバーについて後でお配りをしますので、それでより正確なところは見ていただければと思います。リーダーが総括政策監、総括責任課が政策監グループ、関係課が空港課、佐賀空港事務所、環境課、農山漁村課、危機管理・広報課、政策監グループの広聴部門、農林水産商工本部の企画・経営グループ、県土づくり本部の企画・経営グループ、国際戦略グループ、消防防災課の面々でございます。
そして、具体的にどういうことをやっていくのかということについてのざくっとした役割は決めております。例えば、佐賀空港事務所というのは、これは空港そのものの運営や管理についてのことを担当することになるわけでございますが、現時点では、こういう担当課があるのではないかということで立ち上げておりますけれども、場合によっては、あまりいらない課が出てきたり、必要なところが出てくるという可能性もあると思っております。
それと、もう1つのお尋ねの、どんなことをやっていくのかということについても、ちょっとこれから詰めていきたいと思っております。先ほどお話があったように、自衛隊が入ってくることによって、どういう運用になっていくのかということが我々から見たときの目下の非常に関心事でございまして、そういったことがメインになるのかなとは思っておりますけれども、そのほかにも確認すべきところはいろいろ出てくるかもしれません。そこは実務ベースのチームの中でいろんな話が出てくると思いますので、それぞれいろんな点について、とにかく勉強をしてくれということをお願いしています。
○NHK
今後、何か独立して1つの課になったりとか、そういうこともあり得ますかね。
○古川知事
課にするとなると、基本的に恒常的な仕事が発生するところということになりますので、臨時的に検討するチームという位置づけで当面やっていくことになるだろうと思います。どういう収束を見せるのか、行き先がわかっておりませんので、当面はこういう臨時的なところでやっていきたいと思いますが、ただ、仕事量がどれぐらいになるかが、ちょっと正直言って検討つきません。その意味では、そこのチームの事務局をやることになるところに、やっぱり人を少し張りつかせていかないと、仕事が回っていかないのではないかと。つまり、みんな仕事がある中でこの仕事もということになりますので、みんなが兼務でやっているといけないかなということで、やっぱり専任の人間もこれからつくっていかないといけないかなという印象は持っております。
○共同通信
県のもっぱらの関心というのが、民間空港の利用に滞りがないかというところだというふうに先ほどもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、地元の住民からすると、川副の住民とかからすると、オスプレイの安全性というのが、かなり関心事じゃないかなと思うんですけれども、防衛省はオスプレイの安全性は、ほかの軍用機に比べて高いんだという資料を出していますけれども、現時点で知事としては、オスプレイの安全性についてはどのようなお考えを持っていますか。
○古川知事
もちろんオスプレイの安全性や騒音などについても、先日、私が副大臣に申し上げた際にも、そのようなことについて不安の声が寄せられているということを発言しております。私のイメージからすると、まずは民間空港として使えるのかどうかというのがなによりも大前提になるというか、仮に、仮にですよ、仮にオスプレイが安全だとわかったとしても、民間空港として使えませんと言われたら、それはもう我々としてはお話のしようがないことではないかと思っておりますので、まずは、その前の段階の話をしているつもりでございます。
とはいえ、それがクリアできないとほかの話ができないということでももちろんないと思います。地元の住民の方々あるいは漁協の方々、地権者の方々、市あるいは議会、そういったさまざまな方々がそれぞれの関心事をお持ちだろうと思っておりますので、そういったことについては、それぞれに対して国がしっかりと説明責任を果たしていかれるんだろうと思っております。
私自身がオスプレイの安全性について現時点でどのように考えているのかといえば、まだオスプレイの安全性について国と話をしておりません。このオスプレイの安全性について私が今、なにかいいとか悪いとかということを申し上げるような段階ではないと思っております。
ただ、県に来るいろんなお手紙であったり申し入れであったり、そういったものについて見れば、オスプレイの安全性について危惧をされる方々が非常に多いということは事実でありますので、これらに対しては、相手が誰であれ国はきっちりとどう考えるのかということを明確にしていただかなければいけないと考えています。
○時事通信
政府側としては、概算要求の関係で8月末了承を得たいという話をされていて、知事も会見の場では、それにあわせてどうこう動くことないという趣旨の発言をされていたと思います。ただ、政府の動きを見ていると、沖縄知事選のことが絡んでいるようにも見えまして、8月末という時期について、知事のご所見として早過ぎる、現実的に難しいというお考えなのか、現時点で8月末ということの捉え方を教えていただけますか。
○古川知事
これは前の会見のときにも申し上げたように思いますが、8月末の概算要求というのは、国における内部手続でございまして、内部的に予算要求を取りまとめて財務省に提出するということだろうと思っております。その段階で、当事者である我々がオッケーをしたから要求をする、オッケーしないから要求をしないということにはならないのだろうと思っておりまして、私ども、あるいは私、県庁ということではなくて、さまざまな当事者、関係者がいらっしゃいますので、そういう方たちがなんらかの意思表示をしなければ、8月末の概算要求にのせることができないとか、そういったことにはならないのではないかと思っています。ですので、その意味で、私どもとしては8月末というものにこだわってなんらかの判断をするということではないということを申し上げているところでございます。
さらに申し上げれば、この話は県が判断したら全てそれで終わるという話ではないと思っておりまして、たくさんの関係者、当事者がいらっしゃいます。そうした方々に対する、そういう方々がそもそもどういうふうに受けとめられるのか、お考えになるのかといったところが極めて重要な話になってまいりますので、私どもが、じゃあどうぞ予算要求してくださいと申し上げたから、では予算要求しますねということではないのではないかと思っております。
○西日本新聞
この問題では当事者がさまざまいらっしゃるんですが、県の役割として、そういう防衛省と当事者との調整役とか、そういうことは果たされるのか、それとも県は県として単独で検討を進められるのか。諫干問題とかでは、漁業者と一緒になって共同歩調をとるようにされていらっしゃいますけれども、この問題ではどのように進めていこうとお考えなのか、お願いいたします。
○古川知事
諫干問題については、有明海の再生というのは県として極めて重要な県政上のテーマです。それを実現していくために、漁協の方々や地元の方々と一緒になって取り組みをしてきました。一方、国防に関する事柄というのは、そもそもから言えば、私ども佐賀県の事務ではないというところが諫干の話との大きな違いだと思っています。この国として国防上、あるいは安全保障上、佐賀空港を自衛隊が借りたい、あるいは一時的に米軍に使わせたい、そういうお考えになっておられるのは国でございますから、国がそれぞれの当事者に対してきっちり説明をしていくということが必要であって、私どもがなにか地元の方々を説得するような、そういう立場にはないと思っているところでございます。私どもはあくまでも説明を受ける側だという認識をしています。
○西日本新聞
そういう方々と共同歩調をとるというような形ではないということですか。
○古川知事
あり得るとしたら、例えば、これからいろんなやりとりをしていく中で、地元の方々や市のほうから、なにかこのことを国に尋ねてくれないかと、自分たちではちょっと聞きにくいとか、話を聞くのに一緒に聞いてくれないかとか、そのようなお話が地元や市からあれば、そういう求めがあれば協力をしていくということはあると思います。ですから、その意味では、そういう場面では共同歩調をとっていくということはあろうかと思います。
○佐賀新聞
全体的な県の進め方、スタンスの問題をちょっとお伺いしたいんですが、これまでの知事の発言等を聞いていたら、地元地権者を含めて、まずもって地元の意向、方向性が出てくるのが県の判断より先になるのか。それとも、それに先立って県が判断することもあり得るのか、その点の認識、今の現段階の認識をお尋ねしたいんですが。
○古川知事
現段階の認識ですので、後までずっとこの認識が続くかどうかということは、ひょっとしたら違っているのかもしれませんが、私の今の認識でいけば、どっちが先、後になるというか、同時並行的に進んでいくんだろうと思います。例えば、さまざまなやりとりや話し合いの回数がどう違っていくのかということもあるでしょう。漁民の方々は、例えば、多くの方はノリをやっておられると思うんですが、秋口になると非常にお忙しくなられて、そういう話し合うような時間がないというふうなところもあるかもしれません。そういったところを考えていくと、どこかが先にやらないと我々は絶対やらないということではもちろんないんですけれども、基本的には同時並行的に進んでいって、ただ、ぴたっと合うかといえば、そうはならずに少しずつずれるということもあるかもしれないし、結果的に、ある判断がどっちかが先になり、どっちかが後になり、ひょっとしたら判断の内容が違ってくるかもしれませんから、そういったところになるのかなと思っております。基本的には、今の時点では同時並行的に進んでいくのではないかなと思っております。
○佐賀新聞
そしたら、今の知事の中では、県が判断する上でその基準となるのは、例えば、地権者が一定の方向性を示していない段階でも、判断がもしかしたらあるということは、そこは判断基準に入っていないということでよろしいですかね。
○古川知事
いや、実際上は、私どもがまずどういう立場で判断をするかというのがあると思うんですね。県の立場は大きく2つあると思っていまして、1つが住民生活の安全を守るという立場、平穏な暮らしを守るという立場があります。そういう立場からすると、新しく導入されようとするものが本当に安全なのか、あるいは騒音などで生活の平穏を乱すようなことがないのか、そういったところをはじめ、確認すべきという立場が1個あるんだろうと思います。
もう1個あるのは、空港の管理者としての立場でありまして、空港がきちんと運用できるのかといったところがあると思います。その最初の判断をしていく際には、地元のほうが一定の理解を示しておられるのか、大反対の真っ最中なのかというような要素を無視しては、県はこう考えますというのを独立して判断するというのは、現実的にはないのではないかなとも思っておりますし、また、それぞれ佐賀市がどうお考えなのかということもありますし、議会があります。そういったことを含めた上でということになるのではなかろうかと思っております。
○佐賀新聞
すみません、もう1点だけ。今日の防衛大臣の会見の中で、米軍の海兵隊の一部活用について、佐賀側の理解を得た後に、具体的には米軍と調整に入りたいというような旨の発言をされているんですけど。
○古川知事
理解を得た後に。
○佐賀新聞
そうです。県の理解がまず先にあって、その後に具体的な協議に入っていきたい旨の発言をされているんですが、とりようによっては、ある意味、そこの部分が米軍が来るかどうかもわからない、来てもどういう運用するかもわからない中での判断を迫られる可能性もあるかと思うんですが、こういう国の認識に対して、今、知事はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
○古川知事
防衛大臣から、私に直接お電話をいただきました。その意味では、今回の事柄について、防衛大臣のご認識としては、地元の窓口といいますか、そういう話をする相手は私だと思っておられるというところからおっしゃったお話ではないかと思います。
ただ、とはいえ、米軍に話をする、しないについて申し上げれば、私どもがオッケーするまで米軍と話をするなということを言うべき立場かというと、米軍に何を提案されるのか、それに対して米軍がどうだったかというような話が全くない中で、逆に説明を聞くといっても、説明の聞きようもないような気もいたします。今のお話を聞いただけの率直な印象でいくとですね。
ですから、先日来申し上げていると思いますけれども、私どもは国に対して、この人のところは行ってください、この人はやめてください、あと何とかされるのは、これが終わってからにしてくださいということを私どもが言う立場にはないと思っています。国は、国としてのスケジュール感があるんだと思います。それに間に合うように仕事を進められたいんだと思います。それはそれで、国の判断として必要な相手方に対して説明をされるということが国としてのお立場ではないかなと思います。
防衛大臣は、地元に対して配慮をしていただいたのかもしれませんけれども、私どもの考え方としては、今申し上げましたように、国としては必要な相手に必要なタイミングでお話をしていただきたいということだと思っています。
○朝日新聞
漁民との間の協定の覚書の附属資料に、自衛隊の共用はしないというふうに書いてあるんですけど、これがあるんであれば、話が来た時点で、こういうものがあるので受け入れられないと反対しなかったことについて、漁民の中では受け入れありきじゃないかと指摘する声もあるんですけど、この点については、どう考えていらっしゃいますか。
○古川知事
その附属資料の前半の部分には、県は自衛隊と共用するような考えを持っていないというふうに書いてあったと思いますけれども、その後の部分も同じ文章の中に書いてあることはご存じだと思います。すなわち、このような状態が起きるとすると、それは空港の運営変更に当たるものだ、そのときには協定の3条でしたか、に基づいて事前協議をすることになりますと書いてあるんですね。その前文が附属文書のQAの内容であります。この前文を、私もあんまり後半の部分に関心がこれまでなかったんですけれども、今回こういうお話があって、改めて協定の附属文書というものを見直したときには、ぜひ報道する際にもその文書そのまま載せていただければありがたいと思うんですけれども、少なくとも、県が共用する考えを持っていないと述べた後に、仮にそういうことになるようになれば、そのときは事前協議をしますよと書いてあるということなんですね。
ということですので、全く想定をせずにそういうことはあり得ませんとだけ、あの文書に書いてあることではないと思います。ただ、だからといって、それを認めるということにはならないわけでありますから、認めるのか認めないのかというのは、まさにこれからの話なんだろうと思っています。
それと、事前協議というのがどういう意味なんだろうかということを、事前にというのは、誰からどういうタイミングで話をすれば事前になるんだろうかということについても、ここ数日間議論をしているところなんですが、この事前にの意味というのは、私どもがそもそも空港の管理者でありまして、この空港を今回提案のあったような用途に使ってもいいという判断をしておりません。判断をしていないということは、そもそも県としてこういうふうに使いたいんだけどという事前協議をするタイミングに至っていないんですね。だから、今の段階で事前協議をするというのもおかしいだろうというふうに今のところ整理をしています。
ですから、私どもではなくて、国が行くべきだというふうに考えているのは、それは国が実際にそこで空港の隣の地を借りたい、そこの地権者は主として漁協の皆さんたちである。そういったことで国のほうに入っていただきたいと私どもは考えているところであります。
○朝日新聞
いや、県との協定になっていますけど、もう一回、わからなかったんですけど、県じゃなくて国がそこについてはクリアすべきだと考えているとおっしゃっているんですか。
○古川知事
県との協定でいけば、防衛の用途というか、自衛隊との共用をするような場合には、事前協議をするということになっているんですね。それが一言でまとめれば、事前協議をするということになっているということです。そこはよろしいですよね。
○朝日新聞
はい、わかっています。
○古川知事
じゃ、今が事前協議をするタイミングなのかということですね。県は今、この時点で自衛隊と共用する考えを持っているかというと、持っていません。ですから、県がその考えを今持っていない以上、県が漁協に対して事前協議の申し入れをするということにはならないということなんです。全然話をしなくていいのかというと、そんなことはありません。だから、自分たちが使いたいと言っている人が話をしてくださいということを言っているということだからです。
○朝日新聞
仮に受け入れるとなった場合は、県が最終的には漁協6支所との事前協議をちゃんとやって、受け入れますということの合意を得る、最後は得るということでしょう。
○古川知事
もちろんそうです。そうなればですね。そうなれば、それをやっていく必要があります。
○朝日新聞
決まる前までは国がちゃんと説明してくださいということですね、漁協に対しては。
○知事
漁協の皆さんもそうだし、私たちにもそうです。それは仮に、それぞれが、じゃあもうしょうがないねとか、受け入れようとなったときに初めて事前協議が始まるという話であると理解しています。
○西日本新聞
今の質問に補足でお伺いしたいんですが、今のお話をお伺いしていると、漁協側と県側の附属資料の部分で解釈が少しずれていて、そこで例えば、漁協からは受け入れありきではないかという、そういう声もあると思うんですけれども、そのあたりのこの条項について、どういうふうに考えているのかということについて、漁協と直接、例えば協議したりとか、そのあたり、きちっと意見をすり合わせるということで協議することはないんでしょうか。
○古川知事
今のところですけど、それは考えていませんが、漁協から話を聞きたいとかと言われれば、お話をする用意はあります。これは解釈ではなくて、その条文を見ていただきたいということなんですね。条文を見れば、事前協議すると書いてあるんですけど、その事前協議すると書いてあることについて、いや、これは結論決めているんじゃないかとおっしゃる方はどのようにお考えなんだろうかということであります。ですので、それは解釈の話ではなくて、条文をきちんと最初から最後まで読んでいただければ、わかっていただけるのではないかと私は思っております。
ただ、それがなかなかわからないというお気持ちもわかります。というのは、私どもも、ちょっと恥ずかしい話ではありますけれども、今回のことがあって、改めてきちんと細かなところまで見直した、そういう中で、ここの規定ぶりというのは、これは明らかに3条で運営変更に当たると。その場合には事前協議をするということが書いてあるねということに思い至ったというところもありますので、前の部分というのが非常に頭の中にあって、後ろの部分というものについては、思いがあんまり記憶になかったりとかするということはあるんだろうと思います。ぜひそれをごらんになっていただいて、その上で県と意見交換したいとか、話がしたいということであれば、そこはもちろん喜んでお話を聞かせていただきたいと思います。
○朝日新聞
関連なんですけど、事が決まってから協議しても、もう遅いと思うんですよね。変更する可能性があるかもしれない時点で事前協議をするというふうにも読んでもいいんじゃないんですか、その条文自体を。
○古川知事
それは、県がやろうとしていればですね。つまり、県がもともと断ろうと思っているんだったら、事前協議しなくていいわけです。県が断りますというときには事前協議は要りません。
○STS
確認なんですけれども、先ほど住民の安全が守れるということが話があって、あと県営空港としての空港の維持ができるかと。仮にこの2点がクリアできるというふうになった場合に、県としてはゴーサインを出す可能性はあるんでしょうか。
○古川知事
ものすごく先の話をしていただいておるようなんですけど、数日前も申し上げたと思いますが、現時点でどうするかということについては白紙です。それについて、なにか白紙の意味が、前向きな白紙なのか、後ろ向きの白紙なのかということについて、いろいろ書かれていましたけれども、いろんな意味なく、まだ本当に話が来たばっかりで、関係者の方々も非常に戸惑っておられて、もう少しお互いに中で整理をしていく、あるいは知識を増やしていかなければ、判断ができないという状況でございますので、ちょっとご質問にきちんとお答えできないのは申し訳ないんですけれども、その先のことについては、まだ決めてないということでございます。
○読売新聞
そもそもの話で恐縮なんですけれども、今回、国がお願いしに来たときのもともとの話が南西諸島防衛力の強化と、あと沖縄の基地負担の分散、軽減ということだったと思うんですけれども、会見ではちょっとお聞きしているんですけれども、改めて、この2点の知事の考え方を教えていただけますか。
○古川知事
つまり今回の提案が、南西諸島の防衛について、なんらかのプラスの意味があるのかどうかということについての私の所見ということでございましょうか。
○読売新聞
南西諸島防衛力強化そのものについての評価もお願いできますか。
○古川知事
この南西諸島の防衛力強化を含めて、我が国を防衛力の観点からどのように防衛していくのかということについては、極めて高度な国としての判断があるんだろうと思っております。ですので、どのような装備をどういったところに配備していく必要があるのかどうかということについても、国が責任を持って判断をしていただきたいと思っています。
私どもは、それが佐賀県内に関連する範囲の中で、県民生活に関連をしていくというところで、その一定の判断をしていくというところはあるんだろうと思っておりますけれども、防衛力そのものについては、国のほうでしっかり判断をしていただきたいと考えています。
○読売新聞
沖縄の基地負担軽減に、佐賀県にもお願いしますというふうにおっしゃっているように聞こえたんですが。
○古川知事
沖縄の基地負担の軽減については、これはもうどこも政府から真剣に話が来たときにはしっかりと話を聞くということが必要だと思います。私自身そう思いますし、全国知事会でも同様の決議がなされております。
今回のご提案の内容が沖縄の基地負担の軽減にどこまでつながるのかということについては、もう少しお話を具体的に伺っていく中で判断をしていきたいとも思っておりますけれども、沖縄の基地負担の軽減についてどうかと言われれば、それは沖縄の基地負担の軽減については、私は全国どこの地域も協力をしていかなければいけないと思っています。
○朝日新聞
知事が、2010年3月に反対の意向を表明されたときの話で、ちょっと昔の話で恐縮なんですが、そのときの文言を確認させてもらうと、米軍機による使用を認めることは県民の理解が得られないということで、米軍機というふうにはおっしゃっていますけれども、となると、普天間の暫定移設、移設というかどうかわかんないですけれども、暫定的な、オスプレイの置き先として佐賀空港というのは、いわゆる米軍機による使用だと思うんですよね。それとの整合性というのは、どうつけていらっしゃるんでしょうか。
○古川知事
あのときに申し上げていることは、あのころ何回もお話をさせていただいていると思いますけれども、あのころ議論されていたことというのは、普天間基地の佐賀空港への移設だったんですよ。その暫定的な利用とかというのではなくて、普天間飛行場を閉めて、普天間基地を閉鎖して、その分を佐賀空港に持ってくるという話だったんですね。そのことについて、与党の一部の幹部の方が、そういったこともあり得るみたいな、私どもから見たらちょっと無責任とも思えるような発言をされたり、一部の当時の与党の議員からは、国会で質問がたしか出たこともあったと思います。そうしたことがあったわけでありますけれども、私は、当時からも申し上げていたように、普天間空港というか普天間の基地を、恒常的にというか、永久的に佐賀空港に移設するということは本当にあるのかということで疑問を呈していたんですね。ですけれども、それが与党の中から話が出てきたので、そういったことはあり得ないのではないかということで否定をして、反対するコメントを出したところでございます。県議会も出していますけれども、県議会のことは私は申し上げませんけれども、私、そのように申し上げました。そういう文書の中で、米軍機による使用は認められないということを書いているのも事実だと思いますけれども、要は普天間基地を半永久的にというか恒久的に佐賀空港に移設するということは、現実的にあり得ないだろうと思っておりまして、そういう前提で反対ということを申し上げたものでございます。
今回、それとの関係も気になりましたから、防衛副大臣に、今回ご提案のあったことは普天間基地の佐賀空港への移設ですかということも確認をいたしました。防衛副大臣からは、明確にそれは違いますということを言われました。何回か言われたと思います。その辺の言葉の意味についても、これから確認をしなくてはいけないと思っておりますし、米軍による使用をどのように思っておられるのかもこれから確認していかなくちゃいけないこととは思っておりますけれども、明確に防衛副大臣が否定されている、そのことからしても、当時、反対というコメントを出した普天間空港の佐賀空港への移設というものには、今回の提案は当たらないのではないかと考えています。
○朝日新聞
私の勝手な理解だと、恒久的にせよ、一時的にせよ、米軍機が佐賀の空を飛ぶことは理解を得られない。つまり、一時的であってもこういったものが飛ぶことに対する知事の不快感を示したと思っていたんですが、そうではないということですね。
○古川知事
不快感ではないですね。
○朝日新聞
ああ、不快感ではなくて、一時的だろうが、10年だろうが、20年だろうが、そういう期間というのは関係なく理解を得られないという意味で言ったのかと思ったんですけど、期間は大して関係ないと。
○古川知事
当時、暫定利用というのは全くありませんでしたから。ただ、例えば、一旦なにか起きたときに、我が国を防衛しなくちゃいけないようなときがあったとして、そういう緊急のときには、空港というところは、自衛隊機であれ、米軍機であれ、我が国を守るために一時的に使われるということについては、空港という存在そのものは、それを受け入れなければいけないと思っている、多分そうだと思います。
そういったことを考えると、全く1機も飛ぶことが許されないとか、そういったことを私がその言葉で表現したとは思えません。
ただ、現実問題として、それを書いたときには、今回のような一時的な、暫定的な使用みたいな話は全くありませんでしたので、私があそこで書いたのは、普天間基地が恒久的に佐賀空港に移設するということに対する反対意見そのものであります。
○朝日新聞
あと、今回の提案というのは、先ほどおっしゃったように国防という話で、国策という名前でいえば国策中の国策だと思います。この国策に対して、知事の場合、今回、反対できるんでしょうか。
○古川知事
なにかそういう議論もよくしています。もちろん、反対できるかできないかと言われれば、反対できないことはないと思うんです。問題は、反対するすべがあるのかどうかということですよね。できるかできないかということの議論も一つありましょう。私は、基本的には、安全保障に関することは、一般論として申し上げれば、それは国が責任を持って行うべきことで、そのことに対しては、一般論として申し上げると、地方公共団体は協力する責務があると思っています。ただ、それは一般論で、具体論になったときに、なにも手放しで、どうぞよろしいですよというお話にはならないということなんだろうと思っているんですね。
その考え方からすると、基本的にはいうか、一般論としては、協力する立場にあるということは理解しておりますけれども、この空港をめぐるさまざまな経緯などもございます。そうしたことを今直ちに判断するには至っていないというところでございまして、悩ましいというところであります。