その容姿から、アメフラシやイカ、タコの仲間 (軟体動物) にも思えるが、ウニやヒトデの仲間 (棘皮動物) である。千島・樺太から四国・九州の沿岸域にかけて広く分布し、体長は20~30cmになる。
アオナマコ、アカナマコ、クロナマコの3つの系統があり、同じマナマコでありながら、すむ場所や色や肉の硬さなどが若干違っている。
アオナマコの体色は青緑色から茶褐色で主に内湾の浅い砂泥域に生息し、肉質は比較的柔らかい。アカナマコは赤褐色で主に外海の岩礁地帯に生息し、肉質はアオナマコと比較するとやや硬い。クロナマコは黒くアオナマコと同じ内湾の砂泥域に生息し、肉質は硬い。いずれも食用とされるが水産上有用なのはアオナマコとアカナマコである。海底をゆっくり動きまわり、砂や泥の中に含まれる有機物や海藻の破片、珪藻などを周りに触手の生えた口で食べ、泥を細長く固めたような糞をする。冬場水温が下がると活発に動き出し、夏場は夏眠すると言われている。4~5月が産卵期でふ化すると、20日間程度海中を漂い (アウリクラリア幼生)、その後海底に着き、稚ナマコとなり成長する。
玄海での漁獲量は、昭和40年代には年間100トンを上回っていたが、その後徐々に減少し、現在は10トン前後である。アオナマコは唐津湾や伊万里湾で多く、アカナマコは鎮西町、呼子町などの外海に面した磯に多い。なお、有明海でも太良町の沿岸ではごく僅かではあるがマナマコが生息している。ナマコの酢の物は佐賀の正月には欠かせない料理の一つで、内蔵や生殖腺を塩蔵した「このわた」、「このこ」は酒の肴として有名。