■地方名 (方言):ヤリイカ、ブドウイカ、スイリ
■主な漁場 :玄海一円
■漁期と主な漁法 : 4 ~10月【イカ釣り、定置網】
玄海で最も多く漁獲されるイカで、産業的にも本県で最も重要なイカである。オスは胴長50cm、メスで40cmに達する。青森県以南の日本周辺から東南アジア、オーストラリア北部までの大陸棚に広く分布するが、特に九州西岸や五島周辺に多い。
沿岸域の主な漁場は、4~5月には沿岸寄りの水深20~40m付近で、その後次第に沖合へ移動し秋には水深80~100mの海域となる。
玄海ではこのケンサキイカを “やりいか” と呼び、標準和名でヤリイカと言うものを “ささいか” と呼ぶことが多い。さらにケンサキイカには春~夏にかけての大型で細めの群と、秋以降の小型で太めの季節群があり、前者は “すいり”、後者は “ぶどういか” と呼ばれている。
寿命は約1年で海底の砂の中に卵を産みつける。ケンサキイカは非常にデリケートで長期間飼育することができない。このため、その生態は解明されていないことが多い。
県内の漁獲量は1990年代後半までは、年間1,000トン前後であったがその後減少し、現在は500トン前後で推移している。そのほとんどが釣りで漁獲されるが、釣りには昼釣りと集魚灯を使った夜釣りがある、夜釣りの集魚灯は漁火としてよく知られる。釣りのイカのほとんどが活魚で出荷されるが、量が多い時は鮮魚で出荷される。
イカの中で最も美味しい種類の一つで、刺身、煮付け、天ぷら、スルメ等何でもおいしく、特に新鮮な活きイカは甘みがあり実にうまい。呼子町を中心とした「イカの活き造り」は有名であるが、そのほとんどはこのケンサキイカである。