コウイカ コウイカ科
■地方名 (方言) : コウイカ
■主な漁場 : 玄海沿岸一円
■漁期と主な漁法 : 3~6月【イカかご、小型定置網、小型底びき網】
体の中に舟形の石灰質の甲「いかの甲」を持っていることから「甲いか」と言われる。本州中部からオーストラリアにかけて広く分布し、同長は最大20cmに達する。
初春に産卵のため沿岸域に近づき、3~5月にかけてブドウの実のような卵を海底や海藻、流木などに一粒ずつ産み付ける。産卵数は数千粒にも及ぶ。ふ化後100日で胴長5~10cm、200日で10~15cmとなるが、その後の成長は鈍くなる。幼期を沿岸域で過ごした後、秋には越冬のため沖合に移動し、翌春には産卵のために再び沿岸域に回遊する。主に、エビ、カニ類などの甲殻類や小型魚類を食べる。寿命は約1年。
オス・メスの外見的な違いは、オスの背面部には暗褐色のさざなみ上の横縞がはっきりと見られるのに対し、メスには定まった斑紋がないことである。
玄海での年間漁獲量は30~40トン程度であり、イカかご、小型定置網などで漁獲される。イカかご漁業は芝の束を取り付けたかごを用い、卵を産み付けにきたコウイカを漁獲する。有明海でも数トンと僅かではあるがとられている。
身は他のイカと比べやや厚いが、柔らかくておいしい。主に刺身、煮付けなどにする。この他に甲を持つイカで産業的に重要なものとしてはカミナリイカ、シリヤケイカがある。
また、コウイカ類の墨汁は数世紀にも渡りセピア絵の具として用いられた。