食品衛生法の改正により、平成18年5月29日から同法に基づく残留農薬基準について、ポジティブリスト制度が施行されます。ポジティブリスト制度とは、農産物をはじめとする全ての食品について、残留基準が定まっていない場合には、一定量以上の農薬等を含む食品の販売を原則禁止する制度であり、農薬のみでなく、動物用医薬品、飼料添加物も規制の対象となります。
農薬についてはこれまで246種類の農薬に対して残留基準が設定されており(平成17年4月現在)、これを超過したものは流通が禁止されています。現在、世界中で使用されている農薬は約800種類あると言われていますが、これまでは残留基準値が設定されていない農薬が残留していても流通を規制することができなかったため、平成15年に食品衛生法が改正されて今回の制度が導入されることとなりました。特に、残留基準がない農薬には、一律に0.01ppmという基準値が設定されることとなり、基準値を超えた農薬が残留している農産物は出荷停止などの処置が取られることになります。
しかしながら、このようなポジティブリスト制度が施行されても、登録された農薬を農薬容器等に書かれた使用基準を守って使用すれば、対象作物に残留基準値を超えた農薬が残留する心配はありません。ただし、散布時に農薬が周囲に飛散して、その農薬に登録がない農作物や、登録はあっても収穫時期が近い農作物にかかると、基準値を超えた農薬が残留する恐れがあります。このため、農薬の散布に当たっては、これまで以上に周辺作物への飛散(ドリフト)に注意することが必要です。
なお、ポジティブリスト制度の運用については、下記の厚生労働省のホームページに詳細な説明が掲載されています。
また、ポジティブリスト制度の導入に対応した農薬の飛散防止対策などについては、下記の農林水産省のホームページ等を参照してください。