水稲における冷夏の影響は、平坦部より山間部で大きく、特に標高の高いところでは低温障害となって現れる。平坦部においても、早期水稲を中心に次の点に留意して管理の徹底を図る。
(1)分けつ期~出穂期
- 分けつ期の温度は15℃以上であれば、分けつの発生を促すため浅水管理につとめる。
- また、分けつ期の水温が20℃以下の場合は初期生育が劣るので、極力かけ流し潅漑を避け昼間から夕方の時期に水温上昇を図る。
- 幼穂形成期から減数分裂期までが最低気温が18℃以下にならないよう、移植時期が早くなりすぎないように適正な時期に移動する。
- 冷水地域では、昼間の止水、間断かんがい法等により、水温の低下防止につとめる。また、床じめを十分に行い漏水を防止する。
- 廻し水かんがい、ビニールチューブを用いた水温上昇策により、生育の促進につとめる。
- 低温による幼穂保護のためには、可能であれば10~15cmの深水管理を実施する。
- 生育期の低温が続けば、生育は緩慢となり遅延するので、過度の窒素施用は避け生育診断に応じた適切な施肥につとめる。
- 出穂遅延を防ぐため、穂肥の施用に当たっては必ず幼穂長を確認した後施用するが、量は減じ、分施につとめる。なお、実肥は施用しない。
- いもち病が発生しやすいので、発生予察に基づき適期防除する。
(2)登熟期
- 出穂時期が出穂安全限界以降にずれ込まないよう、窒素過多を避け生育の促進につとめる。
- 晩生品種、特にヒヨクモチは低温に遭遇すると穂首抽出が十分でないので、出穂直前に10a当り窒素成分で1~1.5kgの追肥により穂首抽出を促進する。
- 出穂後気温が低下する場合は、出穂後の窒素追肥を中止し登熟の促進低温抵抗性の維持につとめる。
- 出穂時期が遅れ、かつ生育が軟弱徒長気味の場合は、葉先のせん除を行い、受光体勢を維持し登熟向上を図る。