佐賀県農業試験場(現、農業試験研究センター)では、昭和40年頃から県内の農具類、生活用品等の収集を開始し、昭和43年に試験場が現在地に移転した折、これらを展示・保存活用するため、場内に農業歴史資料館を建設しました。
このとき、当時農業試験場の職員だった宮島昭二郎氏(経営研究室勤務)が、県下の普及所・役場・農協の職員とともに管内を歩き回り、農家の方々の善意と協力を得て、600点余の古い農具や生活用具を収集し、展示しました。
これらの資料は、馬耕農耕地帯の佐賀平野をはじめ、人力が中心であった白石平野、東松浦地域一帯など、県内各地の農耕生活用具であり、その後収集したものを合わせて約2,000点に上ります。
このうちの512点は、昭和52年3月11日に佐賀県重要有形民族文化財に指定されています。
農具は、佐賀平坦地の農業に使用されていたものが多く、耕耘用と脱穀調整用、運搬用、その他管理作業用に分類できます。明治以降大正、昭和期にかけて、牛馬耕の犁の構造の変遷や、稲の灌水用器具の変遷など、佐賀平坦を中心とする佐賀農業の大きな発展を遂げた状況を伺い知ることができます。