■特徴
白石焼の特徴は、地元産の陶石から生まれる素朴さと温もりにあります。 伝統的な技法に現代的な感覚を加えたデザインは、それぞれの窯元の作風とあいまって、独特の魅力を放っています。
■背景
みやき町の皿山地区の窯元で作られた焼物を白石焼と呼びます。地元では伊万里・有田焼が「西目の皿山」、白石焼が「東目の皿山」と呼ばれました。
白石焼は、1806 年に白石鍋島家が本藩御用窯のある大川内地区から陶工を呼び寄せ、御用焼を命じたことに始まります。この土地一帯にある「五穀さん」と呼ばれる白い砂混じりの陶石と天草陶石を原料にした、白磁に似たひび焼を作らせました。
この焼物は佐賀藩では「南京手」と呼ばれ、大変に珍重されました。江戸時代末期には京都の陶工、臼井走波を招き、野菊やザクロ、蘭などの花鳥画を中心に絵付けし、京風の「走波焼」を作り上げ、白石焼の基盤を作りました。現在、白石神社の側に窯元が点在しており、個性的で味わいのある器を作っています。
■工程
複数の陶石を混合して陶土を作り、ロクロやたたき板、石膏型を使って成形する。竹や金属ヘラを使って形状を整え、生乾きの素地にヘラやカンナなどで模様を付けて生素地を仕上げる。
日陰干しした後、窯で850 ℃前後まで温度を上げて、8 ~ 10 時間素焼きする。その後、約20時間かけてゆっくりと冷ます。鉄絵具や呉須で素焼きした素地に紋様を描き、施釉する。内部温度を均一にするため徐々に昇温した窯で本焼成し、磨き仕上げをして完成。