■特徴
竹材から細い竹ひごを作り、しなりを利用して編み込む竹細工。竹の質感から生まれる風合いは素朴で懐かしく、近年は装飾品としても好まれています。
■背景
武雄市で作られている西川登竹細工は、明治初期に高瀬地区の農業の副業として始まりました。1887 年には問屋が生まれ、販路が拡大。その後も需要が年々増え、日清戦争、日露戦争中には、長崎県の佐世保港から多くの竹製品が軍需品として出荷されました。
1909 年には西川登竹細工組合が設立され、竹細工職人は500 人を超えました。同組合では技術の向上と品質の安定に力を注ぎました。明治天皇がご訪問されたのを機に、西川登竹細工は伊万里・有田焼と肩を並べるほどの名声を博したと伝えられています。
1933 年には高瀬地区に共同作業場を設け、品質の安定にいっそう取り組みました。また小学校高等科の課外特別授業としても取り入れられ、竹細工の認知につながりました。
太平洋戦争中は職人が減少したものの、戦後は500 人以上の職人が働く一大竹細工産地となりました。ところが1950 年代に入り、家具や農具などに合成樹脂が使用されるようになると徐々に需要が減り、現在は2事業者が西川登竹細工の伝統を受け継いでいます。
【細部まで丁寧に作り込まれた西川登竹細工。伝統的な農具のほか、生活用品も手掛ける】
■工程
水で洗って汚れを落とした竹を、なた包丁で十文字に割り、さらに4 等分に割る。16 本に割いた竹の表皮を薄くはいでいく。はいだ竹の表面を削いで凹凸をなくした後、用途に応じて細く、または薄く3 ~ 5 等分に割いて、編み込む素材を整える。
幅広の竹を放射状に敷き、細く割いた竹を巻き付けて、渦巻き状に底面から胴体を作り上げる。仕上げに外側にヒゴを巻き、手持ち部分を編み込んで、完成。
【なた包丁で竹を割く工程】 【竹の表皮を細かく薄く割る】 【骨格にそってヘギを編む】
■西川登竹細工に関する問合わせ先
佐賀・長崎竹工販売組合(栗山商店内)(佐賀県武雄市西川登町神六28436-3)
TEL 0954-28-2178