■特徴
唐津焼は生活の道具としての素朴な美しさが魅力。料理を盛り、花を生けることで完成する「用の美」を備えています。粗く渋い素地からは、独特の温もりと力強さが感じ取れます。
■背景
室町時代末期から桃山時代にかけて岸岳城を居城とした波多三河守親の庇護の下、生活雑器を中心に焼かれたのが唐津焼の始まりです。現在の様式が生まれたのは、別名「やきもの戦争」と言われた、日本の窯業界に多大な影響を与えた文禄・慶長の役以降のこと。朝鮮半島へ出陣した諸大名は、多くの朝鮮陶工を連れて帰国しました。陶工たちは特別大切に扱われ、彼らがもたらした新しい技術「蹴ロクロ」と「連房式登り窯」により、唐津焼は大きく発展することになります。
大量の唐津焼が唐津港から全国へ運び出され、「一楽、二萩、三唐津」と言われるほど、茶人ほか多くの人々から親しまれるようになりました。
また唐津焼の中でも、武雄市近郊で作られているものは武雄古唐津焼と呼ばれます。その起源は、文禄・慶長の役以降、深海宗伝ら朝鮮陶工が日本に帰化し、当地で開窯したことに始まります。今もその技術や技法を伝承し続け、400 年の歴史を誇ります。成形や模様付けの技術が多彩で、叩き、刷毛目、粉引など、土の特性を生かした温かみのある姿が特徴です。
■工程
原土を採掘し乾燥させた後、粉砕しふるいで土質を均一化。水を加えて土を練り陶土を作る。ロクロ、型打ち、押型、たたら成形などの技法で成形。高台を削り仕上げし、自然乾燥させる。
素地に彫りや櫛目、象がん、掻き落としなどの伝統技法で加飾する。その後、必要があれば一度素焼きする。毛筆や刷毛で絵付けし、釉薬をかけて乾燥させた後、慎重に窯詰めして本焼成する。最高1300℃まで温度を上げながら、30~40時間焼き上げて完成。
【陶土製造】 【絵付け】 【窯焚き】
■唐津焼に関する問合わせ先
唐津焼協同組合(佐賀県唐津市新興町2881-1)
TEL 0955-73-4888/FAX 0955-73-9030