11月10日は、「HTLVデー(World HTLV Day)」です
・HTLV-1の普及啓発と感染予防対策の推進を目的として、HTLV-1関連の患者会や日本HTLV-1学会、国際レトロウイルス学会(IRVA)により、
11月10日が「世界HTLVデー(World HTLV Day)」と制定されました。
・世界HTLVデーのキャッチコピーは「知ることから始めよう!」です。
ATLってどんな病気?HTLV-1から赤ちゃんを守りましょう。
Q1:ATLとはどんな病気ですか?
ATLは成人T細胞白血病の略称で、HTLV-1とよばれるウイルスが原因で発生する血液がんの一種です。
Q2:キャリアとはどういうことですか?
HTLV-1ウイルスが体の中に入っても、病気を発病する人はほんの一部です。ウイルスを持っていて発病していない人のことを「キャリア」と呼んでいます。
お母さんがキャリアであると、授乳等によって赤ちゃんに感染する可能性があります。
Q3:キャリアからのATL発病の可能性はどれくらいですか?
感染から40年以内の発症はまれで、キャリアの生涯発症率は約5%(100人に5人)といわれています。たばこを吸っている人が肺がんになるのと同じくらいの確率です。
Q4:ウイルスはどのようにしてうつるのですか?
感染経路は、次の3つが知られています。
1)母子感染
キャリアである母親からその子どもへ。(主に母乳を介して)
2)性行為による感染
主にキャリアの男性から女性へ。
3)輸血による感染
昭和61年から献血者の血液検査が始まり、輸血による感染はなくなりました。
Q5:母子感染はどのようにしておこりますか?
HTLV-1の母子感染のほとんどが母乳による感染です。この他に、胎児が体内にいるときの感染(経胎盤感染)、出産時の感染(経産道感染)等が考えられていますが、現在のところはっきりとはわかっていません。
Q6:母乳による子どもへの感染を防ぐためにはどのような方法がありますか?
母乳感染を防止するには、人工栄養とする方法が最も確実な方法です。どうしても母乳を飲ませたい場合は、3カ月までの短期母乳もしくは凍結母乳などがありますが、これらは感染予防効果がはっきりわかっていません。(平成28年度厚生労働行政推進調査事業費補助金・成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業報告より)
栄養法別の利点と問題点
栄養法 | 人工栄養 | 短期母乳(生後90日未満) | 凍結母乳 |
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利点 | | - 短期間ではあるが母乳栄養の利点を付与できる
- 直接授乳が可能
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問題点 | | - 母子感染予防のエビデンスが不十分
- 母乳栄養が長期化してしまうと感染のリスクが高くなる可能性がある
- 十分な指導が必要
| - 母子感染予防のエビデンスが不十分
- 煩雑である
- 母乳パックの購入が必要
- 最近の冷凍庫は使用できないことがある
- 直接授乳ができない
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Q7:妊婦さんがウイルスをもっているかどうかはどうやってわかりますか?
血液検査でわかります。産婦人科等の主治医にご相談ください。
Q8:このウイルスは、日常生活においてうつることがありますか?
このウイルスが人から人へうつるためには、キャリアの持つHTLV-1感染細胞が生きたまま大量に人の体にはいることが必要です。身近にウイルスのキャリア又はATLの患者さんがいても日常生活の中ではまず感染しません。
Q9:ATLに関する相談窓口は?
妊婦さんは、かかりつけの産婦人科の主治医にご相談ください。その他、県内の保健福祉事務所で相談をお受けします。
また、HTLV-1抗体陽性の妊婦さんなどのため、HTLV-1専門外来(外部リンク)を佐賀大学医学部附属病院に設置しています。
連絡先は、下記のホームページのとおりです。
○HTLV-1専門外来(外部リンク)