牛の肝臓(レバー)の内部で、腸管出血性大腸菌といった重篤な症状を引き起こす食中毒菌が検出されたこと、現時点では、生で安全に食べるための有効な予防対策が見い出されておらず、鮮度や衛生管理等に関わらず、食中毒が発生するおそれがあることが判明したため、食品衛生法に基づく規格基準が設定され、平成24年7月1日より牛肝臓の生食用としての販売(提供)は禁止されています。
また、豚の食肉(豚の内臓を含む、以下同じ。)についても、E型肝炎ウイルス(以下「HEV」という。)、食中毒菌及び寄生虫による危害要因があること、HEVや寄生虫は内部汚染であるため内部までの加熱以外のリスク低減策が考えられないことなどから、平成27年6月12日より生食用として販売(提供)することが禁止されました。
- 現時点で牛の肝臓や豚の食肉を安全に食べるには十分に加熱することが必要です。
- 牛の肝臓や豚の食肉以外(野生鳥獣等)の食肉や内臓の生食についても、食中毒を引き起こす危険性が高いため、十分に加熱してから食べてください。
食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)-抄-(平成27年6月12日施行)
- 牛の肝臓又は豚の食肉は,飲食に供する際に加熱を要するものとして販売の用に供されなければならず,牛の肝臓又は豚の食肉を直接一般消費者に販売する場合は,その販売者は,飲食に供する際に牛の肝臓又は豚の食肉の中心部まで十分な加熱を要する等の必要な情報を一般消費者に提供しなければならない。ただし,第1 食品の部D 各条の項○ 食肉製品に規定する製品(以下9において「食肉製品」という。)を販売する場合については,この限りでない。
- 販売者は,直接一般消費者に販売することを目的に,牛の肝臓又は豚の食肉を使用して,食品を製造,加工又は調理する場合は,その食品の製造,加工又は調理の工程中において,牛の肝臓又は豚の食肉の中心部の温度を63℃で30 分間以上加熱するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。ただし,一般消費者が飲食に供する際に加熱することを前提として当該食品を販売する場合(以下9において「加熱を前提として販売する場合」という。)又は食肉製品を販売する場合については,この限りでない。加熱を前提として販売する場合は,その販売者は,一般消費者が飲食に供する際に当該食品の中心部まで十分な加熱を要する等の必要な情報を一般消費者に提供しなければならない。
牛の肝臓には、腸管出血性大腸菌がいることがあります。
新鮮なものでも、冷蔵庫に入れていても、十分な衛生管理を行っても、牛の肝臓の内部には腸管出血性大腸菌がいることがあります。
これは、牛の腸管の菌が、胆管などを通じて、肝臓の内部に入るからです。
また、腸管出血性大腸菌は、わずか2~9個の菌でも食中毒を引き起こし、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症など、重篤な症状の病気を引き起こします。
豚の食肉には、HEVや寄生虫がいることがあります。
豚はその成育中にHEVに高率に感染し、一部の個体では6ヶ月齢時においても糞便と肝臓にHEVがなお残存しているとの報告がなされています。
また、HEVに感染し、肝炎を発症した場合は、重篤な肝障害を起こす可能性があります。 サルモネラ属菌やカンピロバクター・ジェジュニ/コリ等の細菌による食中毒の危険性や寄生虫の感染事例があります。
加熱して食べれば、安全です。
腸管出血性大腸菌、HEVや寄生虫は、中心部まで75℃で1分以上加熱すれば死滅しますので、牛の肝臓又は豚の食肉は必ず十分な加熱をしてから食べてください。