佐賀県議会平成26年2月定例会において「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例」が議員提案により制定され、平成26年3月20日公布4月1日施行されました。(一部の規定については平成27年4月1日施行)
※条例の全文等については佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例(県ホームページ)をご覧ください。
条例の構成
この条例は、前文と4つの章からなっています。
前 文
第1章 総則(第1条-第7条)
第2章 基本的施策等(第8条-第22条)
第3章 自主回収の報告等(第23条-第26条)
第4章 雑則(第27条)
第1章 総則
目的(第1条)
食の安全・安心の確保に関し、基本理念を定め、県、生産者及び食品関連事業者の責務並びに県民の役割を明らかにし、食の安全・安心の確保に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって安全にかつ安心して消費することができる食品等の生産及び供給の確保に資することを目的としています。
基本理念(第3条)
食の安全・安心の確保に関し、5つの基本理念を定めています。
県民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に必要な措置が講じられること
科学的知見に基づいて必要な措置が行われることによって、県民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすること
県、生産者、食品関連事業者及び県民がそれぞれの責務又は役割を果たすこと
食品等の生産から消費に至る一連の行程の各段階において必要な措置が適切に講じられること
県、生産者、食品関連事業者及び県民が、それぞれ相互理解を深め連携協力を図ること
関係者の責務・役割(第3条~第6条)
(県の責務)
(生産者及び食品関連事業者の責務)
基本理念にのっとり、自らが食品の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識し、必要な措置を適切に行う。
その取り扱う食品等に起因して人の健康に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある場合は、被害の発生又は拡大の防止のために必要な措置を行う。
県が実施する食の安全・安心の確保に関する施策に協力する
(県民の役割)
環境への配慮(第7条)
県、生産者、食品関連事業者及び県民は、食の安全・安心の確保に関する取組と環境とのかかわりを認識し、農林水産物の持続的な生産が可能な環境の保全に配慮する。
第2章 基本的施策等
基本計画(第8条~第9条)
県は、食の安全・安心の確保に関する基本的な計画を策定します。
県は、基本計画を策定するに当たっては、生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じます。
県は、基本計画を策定したときは、これを公表します。
県は、基本計画に基づく施策の実施状況を県議会に報告し公表します。
施策の提案(第10条)
県は、県民から食の安全・安心の確保に関する施策の策定、改善又は廃止についての提案があったときは、当該提案について検討を行い、その結果を通知するとともに内容を公表します。
監視及び検査体制の整備(第11条)
県は、監視、指導及び検査体制の整備に努めます。
危機管理体制の整備(第12条)
県は、重大な健康被害など緊急事態への対処に関する体制を整備します。
食品等の適正な表示の推進(第13条)
県は、関係法令の規定による食品の表示が適正に行われるよう、監視及び指導を行うとともに、食品の表示の制度に関する知識の普及を行います。
調査研究の推進(第14条)
県は、食品等の安全性に関する調査研究の推進及びその成果の普及を行います。
自主的な活動への支援(第15条)
県は、生産者、食品関連事業者が自主的に行う食の安全・安心の確保に関する活動を促進するため、助言その他必要な支援を行います。
情報の収集及び提供(第16条)
- 県は、食の安全・安心の確保に関する情報の収集、整理及び分析を行い、関係者に対し、必要な情報を提供します。
- 県は、生産者、食品関連事業者等が保有する食の安全・安心の確保に関する情報の提供が促進されるよう努めます。
情報の共有及び相互理解の推進(第17条)
県は、生産者、食品関連事業者、県民が食品の安全性に関する情報を共有し相互理解を推進するため、情報及び意見の交換をする場を設けます。
人材の育成(第18条)
県は、食の安全・安心の確保の推進を担う人材の育成に努めます。
生産者及び食品関連事業者の取組等(第19条)
- 生産者は、自主的な生産工程の管理に関し、各工程において管理すべき項目を定め、これを適切に実施するよう努めることとします。
- 食品関連事業者は、自主的な衛生管理の方法に関し、管理すべき項目を定め、これを適切に実施するよう努めることとします。
- 生産者及び食品関連事業者は、農林水産物の生産又は食品等の供給に係る活動に関する記録の作成及び保存に努めることとします。
- 生産者及び食品関連事業者は、その事業活動に係る食品等に関する正確かつ適切な情報を提供するよう努めることとします。
原産地に関する情報提供の充実(第20条:平成27年4月1日施行)
- 食品関連事業者は、国内で生産された畜産物又は加工食品を県内で消費者に販売するときは、当該畜産物の原産地又は当該加工食品の原材料の原産地に関する情報の提供の充実に努めることとします。
国、地方公共団体、関係団体等との連携(第21条)
- 県は、国及び他の地方公共団体との情報共有、意見交換及び連携に努め、施策の推進では、生産者、食品関連事業者及び県民が組織する団体等との連携に努めます。
食育及び地産地消の推進を通じた取組(第22条)
- 県は、県民が食品の安全性に関する知識と理解を深め、食品等の取扱いに当たっての適切な判断力を養うことができるよう、食育の推進を通じた知識の普及啓発及び消費者教育の充実に努めます。
- 県は、地産地消の推進を通じ、生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者間における相互理解の促進を図り、県産農林水産物の安全性に対する信頼の向上に努めます。
- 食育及び消費者教育に関わる者は、食育及び地産地消の推進に自ら努めるとともに、県が実施する食の安全・安心の確保及び食育並びに地産地消の推進に関する施策に協力するよう努めることとします。
第3章 自主回収の報告等
自主回収の報告(第23条:平成27年4月1日施行)
特定事業者は、食品衛生法の規定に違反する食品等の自主的な回収に着手した場合及び終了した時は、その旨を県に報告しなければなりません。県は、自主回収の報告を受けた場合は、その内容を公表します。
危害情報の申出(第24条)
人の健康に悪影響が生じ、又は生ずるおそれのある食品等に関する情報を入手した者は、県に対し、適切に対応するよう申し出ることができます。県は調査を行い、その結果必要があると認めるときは必要な措置を講じます。
立入検査等(第25条:平成27年4月1日施行)
県は、必要があると認めるときは、生産者、食品関連事業者その他の関係者から必要な報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所、事業所その他その事業を行う場所に立ち入り、食品等、施設、設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験の用に供するのに必要な限度において、食品等その他の物件の提出を求めさせることができます。
措置勧告(第26条:平成27年4月1日施行)
- 県は、特定事業者が第23条第1項の報告をせず又は虚偽の報告をしたときや、生産者又は食品関連事業者が第25条第1項の報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査若しくは提出を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。
- 県は、県民の健康への悪影響を未然に防止するため必要があると認めるときは、生産者又は食品関連事業者に対し必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。
- 県は、第1項又は第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができます。
補足説明
食品の原産地に関する情報提供の充実について(平成27年4月1日施行)
食品の信頼性をより一層高めるとともに、消費者と食品関連事業者の間の相互理解や信頼関係の構築に資するため、「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例」では、「食品関連事業者が、国内で生産された畜産物又は加工食品(JAS法に基づく品質表示基準で原料原産地の表示が義務づけられている26種類の加工食品に限る)を県内で消費者に販売する際、原産地に関する情報の提供の充実に努めること」(第20条)を規定、この規定に基づき、県では、「食品の原産地に関する情報提供基準」を定めています。
平成27年4月1日からは、この基準に基づいて、畜産物や上記26種類の加工食品を県内で販売する際に、都道府県名等による詳細な原産地情報の提供に努めていただくこととしています。
※原産地情報提供基準についてはページ下部の参考資料をご覧ください。
食品等の自主回収報告制度について(平成27年度4月1日施行)
平成27年4月1日から、「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例」第23条の規定に基づき、健康への悪影響の未然防止や健康被害の拡大防止の観点から「特定事業者」(注意1)が食品等(食品、添加物、器具又は容器包装)の「自主回収」(注意2)を行う場合、その着手時及び終了時に県への報告を義務付け、その情報を県ホームページで公表し、広く県民に周知する制度(自主回収報告制度)が始まります。これにより、食品等の回収を促進し、健康被害の未然防止を図ります。
※詳細については、ページ下部の参考資料の「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例
施行規則」等をご覧ください。
- 注意1「特定事業者」
食品等の製造、輸入、加工又は販売の事業を行う者であって、県内に事務所、事業所その他その事業を行うための施設を有するものをいいます。
- 注意2「自主回収」
特定事業者が、その製造、輸入、加工又は販売した食品等について、自主検査や消費者からのクレーム等により自ら食品衛生法違反、又はその疑いがあることに気づき、自らの判断で回収を決定、実施することを指します。したがって、食品衛生法第54条第1項の規定による命令を受けて回収する場合は本制度の「自主回収」に含まれません。
施策の提案制度について
「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例」では、「県は、県民から食の安全・安心の確保に関する施策の策定、改善又は廃止についての提案があったときは、当該提案について検討を行い、当該提案をした者に対してその結果を通知するとともに、その内容を公表するものとする。」(第10条)としています。 「県が実施する食の安全・安心の確保に関する施策の策定、改廃についての提案」が本制度の対象となります。
提案内容については担当部署において必要な検討を行い、提案いただいた方に検討結果をお知らせするとともに、その内容を公表いたします。
なお、住所・氏名など個人に関する情報は、公開しないことはもとより、他の目的で使用することは一切ありません。
食の安全・安心の確保に関する施策提案書(様式)につきましてはページ下部、添付ファイルをご覧ください。
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