このご案内は佐賀県公害審査会について概要を説明したものです。
詳細は、下記へご相談ください。
佐賀県公害審査会事務局(佐賀県 県民環境部 有明海再生・環境課)
〒840-8570 佐賀県佐賀市城内一丁目1番59号
TEL:0952-25-7774 FAX:0952-25-7521
もくじ佐賀県公害審査会とは
(1)佐賀県公害審査会(以下「審査会」といいます。)とは、公害に係る民事上の紛争について、
公正・中立な立場で、あっせん、調停、仲裁を行う組織です。
(2)審査会は9名の委員で組織されています。
この9名のうちから審査会会長が指名する委員(あっせんは3人以内、調停及び仲裁は3人)が
委員会を構成して、あっせん、調停、仲裁を行います。( 手続の相違点 )
(3)委員は県議会の同意を得て知事が任命しており、弁護士のほか、騒音等に関する専門家や
社会経験豊かな有識者で構成されています。( 委員名簿 )
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委員名簿令和6年11月1日現在
| 氏名 | 現職 |
委員 | ありよし ひろみ 有吉 浩美 | 元佐賀大学医学部 教授 |
委員 | いちば まさよし 市場 正良 | 佐賀大学医学部 教授 |
委員 | いのうえ あき 井上 亜紀 | 福岡大学法科大学院 教授 |
委員 | こじま しょういち 小島 昌一 | 佐賀大学理工学部 教授 |
委員 | さくらだ やすのり 櫻田 康則 | 弁護士 |
委員 | なかやま やすみち 中山 泰道 | 佐賀大学経済学部 准教授 |
委員 | ふくしま かずよ 福島 和代 | 弁護士 |
委員 | やすだ みどり 安田 みどり | 西九州大学健康栄養学部 教授 |
委員 | やまにし ひろゆき 山西 博幸 | 佐賀大学理工学部 教授 |
公害審査会が扱う紛争審査会が扱う紛争とは相当範囲にわたる典型7公害で、かつ、民事上の紛争です。(公害紛争処理法第2条)
(1)「相当範囲にわたる」とは
人的・地域的に広がりがある、という趣旨です。(申請は一人でもできます。)
(2)「典型7公害」とは
大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭をいいます。
(3)「民事上の紛争」とは
例えば、損害賠償の請求、操業の差止めや公害の防止対策を求めるといったものです。
行政処分(許可・認可など)の取消しや規制権限の行使等を求めるものは「行政事件」と呼ばれ、
民事上の紛争とは区別されていますので審査会が扱う紛争に該当しません。
(審査会は行政処分の是非を審査する機関ではありません。)
*「相当範囲にわたる典型7公害で、かつ、民事上の紛争」にあたらない申請は、
却下・調停拒否されることになります。
*重大な被害をもたらす公害や航空機、新幹線の騒音などに係る特別な紛争については、
国(総務省)の公害紛争処理機関である「公害等調整委員会」が取り扱います。
(公害紛争処理法第24条第1項、公害紛争処理法施行令第1条)
*防衛施設に係る公害は取り扱いません。(公害紛争処理法第50条)
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あっせん、調停、仲裁の主な相違点 | あっせん | 調 停 | 仲 裁 |
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基 本 | 当事者による自主的な解決に比重が置かれています。 | 委員会が紛争の解決に向けて働きかけます。 | 裁判所において裁判を受ける権利を放棄し、仲裁委員に判断を委ねるという仲裁契約の締結が前提となります。 |
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委 員 | あっせん委員は1人でも手続を行えます。 | 3人の調停委員が合議によって手続を行います。 | 3人の仲裁委員が合議によって手続を行います。 |
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期 日 | 必ずしも期日を開く必要はありません。 | 当事者双方の出席する期日を開くのが原則です。 | 当事者双方の出席する期日を開くのが原則です。 |
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解 決 方 法 の 性 格
| ・当事者間の合意で和解が成立します。 ・和解契約書に強制力はありません。 ・強制執行を求めるには、改めて訴訟を提起するなどして、債務名義(民事執行法第22条)を得る必要があります。 | ・当事者間の合意で調停が成立します。 ・合意を促すものとして調停案の受諾勧告があります。 ・調停書に強制力はありません。 ・強制執行を求めるには、改めて訴訟を提起するなどして、債務名義(民事執行法第22条)を得る必要があります。 ・ただし、義務の履行を促す制度として、義務履行勧告があります。 | ・仲裁委員の判断により仲裁判断が行われます。 ・仲裁判断は確定判決と同様の効力を有します。 ・強制執行を求めるには、執行判決を求める訴えを提起する必要があります。 |
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手 数 料 | 不 要 | 要 | 要 |
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調停とは(1)調停とは、調停委員会(以下「委員会」といいます。)が紛争の当事者を仲介し、
当事者双方の互譲による合意に基づいて紛争の解決を図る手続です。
委員会が当事者の間に入って手続を進め話合いをリードしていきますが、
あくまでも当事者双方の合意が基本となります。
このため、当事者に対し調停への出頭を強制することはできません。
(2)申請には所定の申請手数料が必要です。
(3)当事者間に合意が成立したときは、調停委員立会いのもとに調停書を作成します。
調停書は民法上の和解契約と同一の効力を有し、調停成立後は当事者が自主的に
義務を履行することになります。
仮に義務違反が発生した場合、審査会に義務履行の勧告を求めることができますが、
合意事項を強制的に実現することはできません。
強制執行を行うためにはあらためて裁判所に訴えを起こして判決を得る必要があります。
(4)委員会は一方の当事者の主張が妥当であると認定したり、一方の当事者に特定の措置を
とるよう命令することはできません。
また、紛争で問題となっている場所に強制的に立ち入ったり、文書や物件の提出を強制する
権限はありません。(ただし重大な被害をもたらす公害に係るものを審査会が扱う場合は別です。)
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調停の進行(1)手続の流れ(後述の流れ図も参考にしてください。)
1)調停は、審査会あてに(実際には事務局で受け付けます。)所定の事項を記載した
「調停申請書」によって申請してください。
2)まず、申請された案件に事件番号が付され(例:令和○年(調)第○号事件)、
書面に記載事項等の不備がなければ手続が始まります。被申請人(相手方)へ申請書の写しが
送付され、ここで被申請人は意見書によって反論する機会が与えられることになります。
3)3名の委員からなる委員会が構成され、ここからは委員会が手続を進めます。
4)第1回調停期日(手続が行われる日時・場所のことを「期日(きじつ)」といいます。)の
「開催通知」を当事者に送付します。
期日は1回2時間程度で、原則として、佐賀県庁において通常の執務時間内に開かれます。
(県庁の会議室に空きがない場合は、民間の会議室で行う場合もあります。)
1回で手続が終了しないときは次回期日が開かれることになりますが、期日と期日の間隔は当事者、
調停委員及び事務局の日程調整の都合上、概ね1か月~2か月となりますのでご了解ください。
5)当事者は期日に出席して被害の実態や防止対策等について話し合ったり、
文書を提出するなどして話合いを進めていきます。委員会は当事者の主張を聴き、
場合により現地調査を行ったり、参考人等から意見を聴いたり、市役所・町役場に資料の提出を
求めたりして当事者間の話合いが円滑に進むように側面から支援し、合意点をさぐります。
委員会は必要に応じて調停案の提示や調停案の受諾の勧告を行います。
6)当事者が合意に達すると委員会は合意内容を記した調停書を作成し、
これに当事者双方及び各調停委員が署名押印することにより調停が成立し ます。
一方、話合いをこれ以上続けても合意に達する見込みがないと委員会が判断したときは
調停は打ち切られます。
(なお、当審査会で扱った事件の終結までの所要期間は、単純平均で約1年4ヶ月です。)
(2)留意事項
1)法律の定めにより調停は非公開で行います。(公害紛争処理法第37条)
このため、調停の席での話をみだりに外部へ漏らすと合意成立が困難になりますので
十分に注意してください。
また、同条の規定の趣旨に反することから、調停期日の内容の録音・撮影は
ご遠慮いただいています。
2)話合いがうまくいき合意が成立するためには自己の主張だけではなく、相手方の主張も
十分理解して、当事者がお互いに譲り合うことがが重要です。
3)申請が「期待はずれ、時間のムダ」とならないよう、制度の内容を十分理解したうえでの
申請をお願いします。
(3)その他
1)申請人及び被申請人は、紛争当事者である個人、法人又は法人に準じた団体です。
法人又は団体の場合は代表者の氏名、未成年者の場合は親権者の署名押印が必要です。
(申請は公害の被害者に限らず紛争の当事者であれば公害発生源側からも申請できます。)
2)代理人の権限は、書面(代理人選任書)をもって、証明しなければなりません。
弁護士以外の代理人を選任する場合は、委員会の承認を得る必要があります。
3)調停を求める事項は話合いをスムーズに進めるためにできるだけ具体的に書いてください。
また、調停を求める事項や理由に変更がある場合は、書面をもってこれを行うことができます。
4)すでに手続が進められている調停で主張されている原因と同一の原因による被害を主張する方は
その調停に参加の申立てができます。(この場合にも申立書と手数料が必要です。)
5)当事者は、審査会の許可を得て調停事件の記録を閲覧することができます。
6)書面は正本1部とその写し(相手方の数分)の提出にご協力願います。
サイズはA4でお願いいたします。
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調停手続きの流れ
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申請手数料申請手数料は調停を求める事項の価額によって算定します。(公害紛争処理条例第6条第1項)
(1)損害賠償を求める場合は、その請求額が「調停を求める事項の価額」となります。
(2)騒音の差止請求のような価額の算定が不可能な場合は、その価額を500万円とみなします。(同条例第6条第2項)
(3)手数料は、佐賀県内で販売されている佐賀県証紙により納付してください。
なお、いったん納付された手数料は返還できませんのでご了承ください。(同条例第8条)
(4)手数料は次のとおりです。
調停を求める事項の価額 | 申請手数料額(1件につき) |
100万円まで | 1,000円 |
1,000万円まで | 価額(1万円単位)×7円+300円 |
1億円まで | 価額(1万円単位)×6円+1,300円 |
1億円を超える場合 | 価額(1万円単位)×5円+11,300円 |
※ 例えば、前述(2)の騒音の差止めを求める場合は調停を求める事項の価額を500万円として算定しますので、
手数料額は3,800円です。
《その計算式は》
調停を求める事項の価額が「1,000万円まで」に該当しますので、500×7円+300円=3,800円
その他の主な紛争解決手段について裁定について
○国の公害等調整委員会では、都道府県の公害審査会が取り扱うことのできる「調停」、「仲裁」、「あっせん」の他に、
「裁定(責任裁定・原因裁定)」を申請することができます。
・調停は当事者の互譲に基づく合意により紛争を解決する手段であるのに対して、
「裁定」は裁定委員会が証拠調べ等により収集した証拠資料を基に事実関係を確定し、法律的判断を下すことにより
紛争を解決する手段であり、調停に比べ公権的な要素が強い手続です。
・裁定には、
(1)職権による因果関係等に関する調査の実施により、被害者側の因果関係等についての立証能力不足を補うことが可能。
(2)各分野における専門家の知見の活用により、例えば汚染物質の特定・分析など高度に専門的な知識や技術を必要と
する事項についても対応が可能
という特色があります。
○裁定には以下の2種類があります。
・責任裁定=損害賠償責任の有無をはっきりさせることを目的とする手続
・原因裁定=被害の原因をはっきりさせることを目的とする手続
他の主な紛争解決手段は
(1)公の機関によって強制的に解決したい場合
1)地方裁判所又は簡易裁判所に「民事訴訟」を提起する。
2)地方裁判所に「仮処分」を申請する。(仮処分=金銭債権以外の特定物の給付・引渡しその他の特定の給付を目的とする
請求権の執行保全を目的とし、あるいは争いがある権利関係につき仮の地位を定めることを目的とする手続
...有斐閣「新法律学辞典」より)
(2)公の機関によって円満に解決したい場合
1)簡易裁判所に「調停(民事調停)」を申し立てる。
手続き方法や申請費用など、詳しくは「ご存じですか?簡単に手続できます 裁判所の民事調停(外部リンク)」及び
「民事調停手続(外部リンク)」をご参照ください。
2)簡易裁判所において「起訴前の和解(即決和解ともいいます)」により裁判官の面前で相手方との話し合いで解決する。
(メリット:当事者に和解する意思があればすぐ終わる。)
手続き方法や申請費用など、詳しくは「訴え提起前の和解手続き(即決和解)の流れ(外部リンク)」を
ご参照ください。
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あっせん、調停、仲裁 申請書等の参考書式
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用語の解説<却下・調停拒否>
却下・調停拒否とは、不適法な申請を排斥する処分のことです。
次のような場合には不適法な申請として却下・調停拒否されることがあります。
1)紛争が相当範囲にわたる典型7公害に係る紛争に当たらないと判断される場合
2)紛争が典型7公害以外の公害に係るもののみである場合
3)申請の内容が行政事件に係るものである場合
4)申請の対象が防衛施設に係る公害についての紛争である場合
5)申請人又は被申請人に当事者能力や当事者適格がない場合
6)申請手数料が不足していたり、申請書の所要の記載事項を欠いている場合で、審査会の補正要求にも応じない場合
<義務履行の勧告>
義務履行の勧告とは、調停成立後、調停書に定められた義務を正当な理由がないのに果たさない人に対し、
審査会が相当と認めるときに必要な勧告を行うことです。
この勧告を行うには、その義務につき権利のある人が、審査会あてに書面で申し出る必要があります。
なお、手数料は不要です。
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<調停案の受諾の勧告>
調停案の受諾の勧告とは、委員会が相当であると認めるときに一切の事情を考慮して調停案を作成し、
当事者に対し、30日以上の期間を定めてこの案を受け入れるように勧告することです。
調停案受諾勧告があった場合に、当事者が指定された期間内に受諾しない旨の申出をしなかったときは
当事者間に調停案と同一の内容の合意が成立したものとみなされます。
この受諾しない旨の申出は書面をもって行わなければなりません。
また、受諾しない旨の申出があった場合には調停が打ち切られたものとみなされます。
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<代理人と代表者>
代理人とは、申請人や被申請人が、仕事の都合などで調停期日に出席できない場合その他自ら調停に
臨むことが難しい場合に、代わりに調停手続を進めてもらう弁護士や適当な第三者のことです。
代理人が弁護士の場合は「代理人選任書」を、弁護士でない場合は委員会の承認が必要になりますので
「代理人選任書兼承認申請書」を提出してください。
代表者とは、申請人や被申請人などの当事者が多数の場合、他の当事者のために手続を進める1人又は数人の
当事者のことです。代表者の選定にあたっては「代表者選定書」を委員会に提出する必要がありますが、
委員会の許可は不要です。
なお、代理人と代表者の違いについては次の表のとおりです。
特に、代表者を選定した場合、選定した当事者は期日への出席、資料の提出等ができなくなるので注意が必要です。
代理人 | 代表者 |
当事者が1人の場合も選任できます。 | 当事者が複数の場合に選定できます。 |
代理人となるのは、当事者本人でも第三者でもかまいません。 | 代表者となるのは、当事者本人のうちの誰かに限られ、第三者はなれません。 |
弁護士でない方を代理人に選任するには、調停委員会の承認が必要です。(委員会が一度承認しても後に承認を取り消して代理人としての行為をさせないことも可能)。 | 代表者の選定には、調停委員会の承認は不要です。(委員会が代表者をやめさせることはできない)。 |
その事件の処理に必要な手続上一切の行為をする権限があります。ただし、申請の取下げ、調停案の受諾、復代理人の選任については特別の授権が必要です。 | 申請の取下げ、調停書への署名押印、調停案の受諾を除き、その事件の処理に必要な手続上一切の行為をする権限があります。 |
特別の授権があれば、申請の取下げ、調停案の受諾、復代理人の選任もできます。 | 申請の取下げ、調停書への署名押印、調停案の受諾はできません。 |
代理人を選任していても、当事者本人は調停手続で各種の行為をすることができます。 | 代表者が選定されると当事者本人は期日への出席、発言、資料の提出等の代表者がなし得る行為は代表者を通じてしかできません。 |
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<申請の変更>
申請の変更とは、申請人又は参加人が調停を求める事項又はその理由を変更することです。
変更の申立てには審査会あてに「調停申請変更申立書」を提出する必要があります。
委員会が調停手続を著しく遅滞させると判断した場合は変更できません。
調停を求める事項の変更とは、例えば、当初公害防止設備の設置を求めていたのを
その後併せて損害賠償を求めるとか損害賠償額の請求額を増額するような変更をいいます。
また、調停を求める理由の変更とは、例えば、公害防止対策を求める調停において、
騒音による被害に振動による被害を加える場合などをいいます。
<参加の申立て>
参加の申立てとは、既に手続が進められている調停事件で主張されている原因と同一の原因による
被害を主張する人が、当事者としてその事件の手続に参加するという申立てのことです。
参加の申立ては公害の被害者のみが行うことができ公害発生源側からはできません。
参加の申立ては審査会あてに「参加申立書」を提出し委員会の許可を得る必要があります。
許可は事件の当事者から意見を聞いたうえで決定されます。
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<記録の閲覧>
当事者は、審査会の許可を得て調停事件の記録(当事者が提出した文書や期日調書等)を閲覧することができます。
閲覧を希望するときは、審査会あてに「閲覧請求書」を提出してください。
審査会は、一方の当事者が提出した文書や陳述した内容等で、他方の当事者に閲覧させることが
調停手続の進行に支障を来たすおそれがあると判断する箇所があれば、それらを除外して閲覧の許可をします。
閲覧場所は、事件の記録が保管されている佐賀県有明海再生・環境課の事務室となるのが通例です。手数料は不要です。
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お問合せ先
佐賀県公害審査会事務局(佐賀県 県民環境部 有明海再生・環境課)
〒840-8570 佐賀県佐賀市城内一丁目1番59号
TEL:0952-25-7774 FAX:0952-25-7521