平成28年4月に施行された改正消費者安全法では、地方公共団体に、高齢者や障害者等の消費生活上特に配慮を要する消費者を見守るための「消費者安全確保地域協議会」(以下、地域協議会という。)が設置できると規定されています。そして、地域協議会では、消費者安全の確保のための取り組みを効果的かつ円滑に行うために必要があると認める情報であれば、個人情報保護法の例外規定が適用され、必ずしも本人の同意がなくても地域協議会の構成員間での情報の提供ができると規定されています。
消費者被害に関する情報には、見守り対象者の機密性の高い個人情報が含まれていますが、情報の安全管理を確実にする観点から、地域協議会の構成員に対する罰則を伴う秘密保持義務が消費者安全法第11条の5に規定されています。
また、消費者庁が作成した地方消費者行政ガイドラインには、実務的な観点から、地域協議会の構成員等に対する情報の提供について、書面又は口頭で本人の同意を得ることが望ましいとされており、各地域協議会は、構成員の秘密保持義務と情報管理方法を書面化し、構成員への周知徹底を図ることが必要とされています。
佐賀県においては、現在、県をはじめ5つの市町に地域協議会が設置されていますが、地域協議会の構成員である福祉関係者、警察や消費者団体、民間事業者、消費生活相談員などの構成員間での個人情報の提供は行わずに、地域における消費者被害の事例や注意喚起等について情報を共有し、消費者被害への意識を高めることで被害の早期発見に取り組んでいます。構成員が被害を発見した場合は、まず当事者を説得し消費生活センター等へ相談するように促し、もし、当事者の判断力の低下などで個人情報の提供について同意が得られない場合は、特定の個人を識別できないような形で消費生活センター等に相談しトラブルの解決を図っています。
県としましては、引き続き地域協議会構築に関する研修や地域協議会構築のための支援等を通じて、地方消費者行政ガイドラインに基づく地域協議会の適切な運用を市町へ周知してまいります。