隣接地から道路へ張り出した樹木は、通行の支障となるだけでなく、樹木が道路へ倒れたり枯れ枝が落下した際には、通行車両や歩行者に危害が及ぶ事故につながる恐れがあります。
道路を利用する方々が安心して通行できるよう、樹木所有者の皆様には、道路通行の支障となる又は倒れそうな樹木の伐採や剪定を行うなど適切な管理をお願いします。(民法233条)
なお、風雨等により樹木が傾倒し道路交通への危険が迫ったときには、やむを得ず緊急措置として道路管理者において剪定又は伐採することがありますので、御理解をお願いします。
参考(関係法令)
【民法】
第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
1 ⼟地の所有者は、隣地の⽵⽊の枝が境界線を越えるときは、その⽵⽊の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 前項の場合において、⽵⽊が数⼈の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3 第⼀項の場合において、次に掲げるときは、⼟地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
⼀ ⽵⽊の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、⽵⽊の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
⼆ ⽵⽊の所有者を知ることができず、⼜はその所在を知ることができないとき。
三 急迫の事情があるとき。
4 隣地の⽵⽊の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
1. 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2. 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3. 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
【道路法】
(道路に関する禁止行為)
第43条 何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
一 みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること。
参考(裁判事例)
損害賠償請求事件 和歌山地裁田辺支部昭和 46 年(ワ)51 号昭和 47 年 7 月 26 日判決(確定)
(事件の概要)
国道上に突き出て生育している松の大木の幹に自動車の屋根が衝突し、運転の自由を失い付近の民家に突っ込みブロック塀等を破損し、右自動車を大破し、運転者も負傷した。このため、運転者ら(運転者及び使用者たる会社)は被った損害について、道路管理者と松の木の所有者(占有者でもある)を被告として損害賠償請求訴訟を提起した。
(判決要旨)
松の木所有者は、これを国道上から撤去するなど危険防止について適当な措置を講じなければならない立場にあったものと認めることができ、道路管理者とは別個にその植栽支持についての責任を負うものであって、この植栽の支持について、道路管理者の管理支配を受けるべき地位にあったものでないことはいうまでもない。仮に本件事故前に道路管理者から本件松の木の伐採等について何らの指示ないし要請を受けなかったとしても、松の木所有者の責任に影響を及ぼすものではなく、松の木の所有者は民法第 717 条第 2 項に基づき本件事故によって他人に与えた損害については、これを賠償する責任があるものということができる。