令和5年11月14日 県立美術館 学芸課 担当者 安東、岩永 直通 0951-24-3947 【E-mail】hakubi@pref.saga.lg.jp |
佐賀県立美術館でテーマ展「売茶翁の生涯―風のように生きる―」を開催します
売茶翁(ばいさおう)は、延宝3年(1675年)、肥前蓮池(現 佐賀市蓮池町)に生まれ、龍津寺(りゅうしんじ)の開祖である黄檗僧化霖道龍(けりんどうりゅう)の元で出家し、僧名を月海元昭(げっかいげんしょう)と名乗りました。黄檗僧として各地で修業を積み、龍津寺の寺務を掌っていましたが、化霖没後、享保9年(1724年)頃に同寺を出て、やがて京都へ身を移しました。
僧でありながら無自覚に布施を受けることに疑問を持ち、茶店「通仙亭」を開いて、京都の名勝地などで「茶代のあるなしを問わず、のどかに世の中の物語など」(『落栗物語』)の話をしながら、自ら煎茶を売って生計を立てました。その姿が評判を呼び、次第に「売茶翁」の名で広く知られるようになっていきました。寛保2年(1742年、67歳)に還俗した後も、宝暦13年(1763年、89歳)の生涯を終えるまで、煎茶売りを生業とし、画家伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)や池大雅(いけのたいが)など様々な文人墨客と交流を持ちました。
市井に身を置きながらも世俗に染まる事なく、禅僧としての型にとらわれなかった売茶翁の生き方は、同時代や後世の人々に影響を与え、尊敬を集めました。
本展では、売茶翁自筆の墨蹟や著作をはじめ、再現された煎茶道具、売茶翁肖像などを通して売茶翁の生涯をたどり、その人となりを紹介します。また、佐賀県立博物館所蔵の売茶翁関係資料等と併せて、NPO法人 高遊外売茶翁顕彰会収蔵の初公開となる資料も展示を行います。
売茶翁が「通仙亭」で掲げた旗の「清風」の字のように、清らかな風の如く自然のままに生きた売茶翁の人物像を感じていただければ幸いです。
記
1 会期 令和5年11月28日(火曜日)~令和6年1月18日(木曜日)
2 開館時間 9時30分~18時
3 休館日 毎週月曜日(※祝日の場合は翌日)12月29日~31日、1月1日は休館
4 主催 佐賀県立美術館、NPO法人高遊外売茶翁顕彰会
5 観覧料 無料
6 会場 佐賀県立美術館2号展示室 佐賀市城内1丁目15-23
7 関連イベント
(1)博物館・美術館セミナー
ア「売茶翁の生涯」
日時:令和5年12月9日(土曜日)13時30分~15時
場所:県立美術館2階 画廊
担当:福井 尚寿(県立美術館長)
参加料:無料
イ「肖像画から考える“売茶翁像”」
日時:令和6年1 月6 日(土曜日)13 時30 分~15 時
場所:県立美術館2 階 画廊
担当:安東 慶子(県立美術館学芸員)
参加料:無料
(2)学芸員による展示解説
日時:令和5年12月17日(日曜日)、令和6年1月14日(日曜日)
各日とも14時~(30分程度)
場所:県立美術館2号展示室
参加料:無料
主な展示作品
| |
『聖護林偶成(しょうごりんぐうせい』 売茶翁筆、1755年(宝暦5年)、1幅、本館蔵 | 爐龕(ろがん)「僊窠(せんか)」模造品 、19世紀か、1基、個人蔵 |
| |
『売茶翁煎茶図(ばいさおうせんちゃず)』 彭城百川(さかきひゃくせん)筆・売茶翁賛、1745年(延享2年)、1幅、NPO法人高遊外売茶翁顕彰会(旧寺﨑正氏コレクション) | 「東山水上行(とうざんすいじょうこう)」売茶翁筆、1763年(宝暦13年)か、1幅、NPO法人高遊外売茶翁顕彰会(旧寺﨑正氏コレクション) |
|
|
『売茶翁偈語((ばいさおうげご)』、木村孔陽編、1928年(昭和3)花月庵蔵第二版、1冊、NPO法人高遊外売茶翁顕彰会(旧寺﨑正氏コレクション) | 『売茶翁遺品(ばいさおういひん)』、富岡鉄斎筆、19世紀、1冊、本館蔵 |