山口知事と若宮防衛副大臣の面談
若宮健嗣(わかみや けんじ)防衛副大臣が佐賀県庁を訪問され、施設の配置案等について説明がなされました。
山口知事からは、今回の防衛省からの提案を考えるに当たっては、計画の全体像、将来像を明確にすることが大切であり、今回説明いただいた内容にいても、確認、精査をさせていただきたいと申し上げました。
■ 防衛省説明資料
■ 面談内容(動画・テキスト)
面談内容(動画・テキスト)
【動画(YouTube)】
【以下、面談時の発言全文】
○若宮防衛副大臣
改めまして、おはようございます。防衛副大臣を務めております若宮健嗣でございます。
本日は、山口知事を初め、佐賀県の皆様方におかれましては御多忙のところ、貴重なお時間をいただきましたこと、誠にありがとうございます。今日は佐賀空港におけます自衛隊機の配備をお願いに来ました。配置の全体像につきまして、ご説明に伺わせていただきました。
まず、本題に入る前ですが、先日の私どもの防衛省の藤丸大臣政務官の発言につきまして、一言申し上げさせていただければと思います。
既にご案内のとおり、去る3月28日でございますが、藤丸防衛大臣政務官が地元の経済団体が主催をされました研修会におきまして、「佐賀空港へのオスプレイ配備計画に係る地域振興策について」とのテーマで講演を行いました。これまで私どもが申し上げてきた内容と、この講演の中で異なる発言を行ったところはもうご承知のところだと思います。
この講演におけます藤丸政務官の発言は、佐賀空港とその周辺地域の振興を切に希望する国会議員としての立場からの希望を申し上げたものというふうな説明を受けておるところでございますが、地元の多くの皆様方に、いたらずらに混乱を生じさせたこと、これは極めて遺憾であると思っておりますし、不適切であったとも考えているところでございます。
藤丸政務官につきましては、中谷大臣、そして私若宮からも厳しく厳しく注意を重ね、指導をしているところでございます。
私ども防衛省といたしましては、このオスプレイの納入に合わせまして配備を実現したいと考えているところではございますが、地元の皆様方に丁寧な説明を尽くしてご理解をいただき、そして前に進めていきたいなというふうに考えているところでございます。一方的にいつと期限を定めて地元の調整をさせていただくというような考えは毛頭ございませんので、そのあたりをご理解いただければと思っております。
また、駐屯地の整備につきましても、環境影響評価の対象に該当することとなりますれば、これはもちろん県の条例に従って適切に進めさせていただきたいと考えているところでもございます。このような私ども防衛省の考え方につきまして、改めてご理解をいただければと思っております。
それでは、施設配置の計画につきまして、お手元にお配りをさせていただいております資料に従いまして御説明申し上げたいと思います。
初めに、資料(1)、大きいものと、それから資料(2)の2ページをご覧いただければと思います。
私ども防衛省では、5月に実施をいたしました現地での確認の結果なども踏まえまして検討を重ねました。資料1でお示しをいたしますように、駐屯地を整備していきたいなと考えているところでございます。
具体的には、駐屯地の敷地内に駐機場、格納庫、隊庁舎、燃料タンク、それから弾薬庫などを空港の西側に整備をするほか、駐機場から誘導路を設けまして、滑走路に接続をすることを念頭に置きまして、造成面積といたしましてはおよそ33ヘクタールと見込んでいるところでございます。
また、この資料2の2ページのところでお示しをさせていただいております、現在、全国にあります駐屯地におけます類似の施設の写真でございますが、この写真をごらんいただけますれば、それぞれの施設が具体的にどんなものかということをイメージいただけるかなと思っております。
これは例えば、駐機場や格納庫は航空機の運用や格納、整備の際に必要な施設でございます。佐賀空港では3つの格納庫を整備させていただきたいと考えております。
隊庁舎は隊員が事務作業を行う庁舎と、一部の隊員が居住する隊舎と、それから厚生施設や医務室、食堂を合わせたものでございまして、佐賀空港では資料2の写真に示しているような形の隊庁舎を整備させていただきたいと考えております。
このほかは、写真にございますような弾薬庫、それから燃料タンク、また隊員の体育訓練などを行う体育館も、あわせて整備をさせていただきたいと考えております。
それぞれの施設の用途、規模につきましては、お手元にございます資料3に記載されておりますので、あわせてご確認をいただければと思っております。
このような施設の整備のためにも必要となる用地についてでございますが、弾薬庫の周辺の保安用地を考慮いたしまして、取得することを今念頭に置いてございます。その具体的な範囲につきましては、今後地権者の皆様方ともよく相談をさせていただきながら、ご了解をいただいた上で確定をさせていただければと思っております。
なお、またさらに詳細な配置計画などにつきましては、基本検討や実施設計などを踏まえた上で決定してまいることになろうかと思っております。
次に、資料2の3ページをごらんいただければと思います。
これは、周辺の地域への環境や安全への対応についてということでございますが、これに関しましてご説明申し上げたいと思います。
私どもでは、駐屯地の施設整備に当たりましては、工事の期間中も、さらには駐屯地が完成した後も地域の環境や安全に配慮した万全の措置を講ずることをここでお約束をさせていただきたいと思っております。
特に、有明海への汚水や雨水の排水、また騒音につきましては、佐賀空港建設時に佐賀県のほうで講じられた方策を踏まえまして、十分な対策を実施してまいりたいと思っております。
例えば、自衛隊機の運用につきましては、これは以前にもご説明申し上げたかと思いますが、朝8時から17時の飛行を基本といたしまして、空港の南側の場周経路、これを高度300メートル以上で飛行して、騒音を最小限に抑制してまいりたいと思っております。
また、駐屯地からの排水に関しましては、関係法令や県の条例などの基準を満たす高水準の浄化槽、あるいは油分離装置などの設備を、あるいは施設を導入させていただきたいと思っております。
また、万が一でございますが、自衛隊機の運用、あるいは駐屯地の管理運営によりまして、農業や漁業者の皆様方等に対して、経営上の何かしらの損失を与えてしまった場合につきましては、関係法令に基づきまして、防衛省が責任を持ってその損失や損害を保障させていただきたいと考えております。
このほか、工事期間中の措置につきましても、汚濁水の沈殿、貯留沈殿のための仮設調整池、それから、濁水処理装置などもあわせ設けまして、降雨による濁水がそのまま海に流れ込むことのないように防止をしてまいりたいとも思っております。
また、駐機場などのコンクリートの打設期間中は、これは仮設の調整池に加えまして、仮設の貯水池を設けまして、流入する水のpH処理を確実に施すなどの対策を実施いたしまして、有明海の水質をきちっと守ってまいりたいと考えております。
さらに、建設工事に当たりましては、防衛省及び建設業者が地域や警察などの緊密な関係を確保した上で実施をすることとし、工事車両の往来等によって周辺の交通安全が損なわれることのないように十分に気をつけてまいります。
防衛省では、この日本一の品質と供給量を誇る有明のノリの養殖を初め、周辺の漁業や農業や様々な生活環境に配慮することは当然のことであると考えておりまして、様々な対策を実施いたしまして、将来にわたって安心・安全の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
なお、この環境対策の詳細につきましては、今日はお時間の都合もございますので、説明につきましては割愛させていただきますが、資料の3の3ページ以降をご覧いただければと思いますので、後でお目通しをいただければと思っております。
4月に皆様方もご承知のところでありますが、熊本地方を中心といたしました震度7、大地震が起こりました。被災地では多くの方がお亡くなりになり、また、今もなお、まだ1万人近くの方々が不自由な生活を余儀なくされているのが現状でございます。
私ども防衛省、自衛隊では、地震の発生以降、全国から約2万6,000人の隊員、そしてまた、航空機は132機、艦艇も15隻を動員いたしまして、まずは人命救助、そして、その後の被災者の生活支援などを行わせていただきました。
このような災害が今後もしも起きた場合に、やはりこの佐賀空港への配備を念頭に置いております私ども自衛隊機も、当然のことながら行方不明の方々の捜索、あるいは被災者への救援物資の輸送という様々な任務につくことになろうかとも考えております。
こういったことからも、この自衛隊機が配備をされますれば、佐賀空港はまさに九州地方の一大防災拠点としても、とても重要な役割、機能を担うことになろうということも考えているところでございます。
防衛省の安全保障上の重要性はもちろんでございますけれども、南海トラフを初めとする、いつ起きてもおかしくないような大規模災害に備えるためにも、この自衛隊機を佐賀空港に配備をさせていただき、佐賀県を初めといたしまして、九州地方の安心・安全をきちっと確保してまいりたいと考えているところでございます。
最後になりますが、今後、私どもの計画を着実に前に進めていくためには、山口知事初め佐賀県を初めといたしまして、地元の自治体であります佐賀市、そしてまた、有明海の漁港などのご了解をいただくことが大前提であると思っております。
防衛省といたしましては、今後とも皆様方のご懸念、特に、このノリの養殖でも有名な有明海の漁港、空港周辺の方々に、計画の詳細につきましては、しっかりと懇切丁寧にご説明をさせていただきたいと考えているところでございます。
山口知事におかれましては、私どもの事業につきまして、どうぞご協力、ご理解のほどをいただければと思っております。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○山口知事
まず、若宮副大臣におかれましては、お忙しい中、佐賀までご足労いただきました。そして、防衛省の皆さん、自衛隊の皆さん、平時から我が国の防衛活動に尽力いただきましてありがとうございます。
それから、今、副大臣からもありましたけれども、熊本地震でも大切な役割を果たしていただきました。特に2.6万人とお話しいただきましたけれども、人の命ということに向かい合って救助活動をしっかりやっていただいたこと、そして、生活支援という物資の支援も非常に厚くやっていただいた。そういう活動に対して、まずもって敬意を表したいと思います。
そして、本日説明をいただきました。これは昨年の10月29日に中谷防衛大臣が来佐された際に、私のほうからさらなる明確化を求めていたものについて、防衛省さんとしてまとめて提示いただいたものだと受け止めております。本日説明があったことについては、確認・精査をさせていただきたいと思っています。
それから、藤丸防衛大臣政務官の発言についてもお話しいただきました。遺憾である、不適切であったというお話しだったと思いますが、私は自分の所掌することについての、今回政務官としての発言なんですけれども、公務とか政務とかの区別というものは、つくものではないと思っています。
防衛省の幹部としての発言は、私は重いものだと思っておりますし、責任も伴うものだというふうに思いますので、そこは今お話しいただきましたけれども、ぜひしっかりご認識をいただきたいなと強く思っています。
そして、副大臣からは今後とも丁寧にというお話をいただきましたけれども、私はこういった話し合いは信頼関係がかねがね大切だと申し上げておりますので、防衛省さんには誠実な対応をお願いしたいと思います。
私からは以上ですけれども、若干質問させていただいてもよろしいですか。
○若宮防衛副大臣
はい、どうぞ。
○山口知事
こう見てですけれども、格納庫が今ここに3つありますけれども、何機ぐらい入るんでしょうか。これは実は70機という話でしたよね、全部入ることになっておりますか。
○川嶋九州防衛局長
はい、約70機と今まで説明させていただいておりますけれども、その飛行機がこの中に入るということでございます。
正確に申しますと、格納庫と駐機場合わせて70機という形でございます。
○山口知事
格納庫の中に入れようと思うと何機ぐらい入るものですか。
○川嶋九州防衛局長
格納庫だけに入る数でございますか。
○山口知事
はい。
○川嶋九州防衛局長
20機から30機ということでございます。
○山口知事
じゃ、それ以外は、大体外に出ているということですね。
○川嶋九州防衛局長
おっしゃるとおりでございます。
○辰己大臣官房審議官
外に出ている場合もありますし、当然、これを運用とか訓練とかになりますと、違う地域に行っている場合とか、演習に行っている場合もあると。だから、その70機全てがここにいるという状態は少ないと思いますし、IRANというような整備に行く場合もございますので、全てがここにいるというような状態ではないと思います。基本的な運用のパターンと。
○山口知事
すると、素直な感情として、空港の駐車場と割と隣接しているのかなと。そこは、現時点ではこういう形ということですか。
○辰己大臣官房審議官
場所はそうです。現状としては今、ここを考えております。
○司会
それでは、最後に知事からご発言をお願いいたします。
○山口知事
私は、国防は大変大切だと、その重要性は十分認識しているつもりです。一方で、県民の安全・安心に係る重要な課題につきましては、しっかりと議論させていただきたいと思っているところであります。
今回の防衛省さんからの提案を考えるに当たりましては、これはかねてから申し上げておりますとおり、提案内容、計画の全体像、将来像を明確にすることが大切であると思っておりますので、今回、若宮副大臣から配置案も含めて説明いただきました内容につきましても、確認・精査をさせていただきたいと思っております。
本日はありがとうございました。
○若宮防衛副大臣
どうぞよろしくお願い申し上げます。