骨髄ドナーの現状
骨髄移植や末梢血幹細胞移植は、白血病や再生不良性貧血などの病気によって、正常な造血が行われなくなってしまった患者さんの造血幹細胞を、健康な方の造血幹細胞と入れ替える(実際はドナーから採取された造血幹細胞を点滴静注する)ことにより、造血機能を回復させる治療法です。
骨髄移植や末梢血幹細胞移植を必要とする患者さんは、年間2,000人以上いらっしゃいます。多くの患者さんは、自分に適合するドナー候補者を見つけることができますが、患者さんに選ばれたドナー候補者の6割が提供を辞退されています。辞退理由で多いのは、「仕事への影響があると思うため」、「仕事の都合がつかなかったため」が挙げられます。
ドナーは提供に関して、4~6回の外来受診と、骨髄提供の場合4日程度の入院、末梢血幹細胞提供の場合7日程度の入院が必要になります。長期の休暇が必要になることから上司や同僚の目が気になる、会社の理解が得られなかったなどの理由で提供を辞退されています。
ドナー休暇制度(働きながらドナーになりやすい環境整備)
ドナーになって造血幹細胞を提供するために必要な外来受診や入院のために取得する休暇を、年次有給休暇ではなく、特別休暇として認める制度が「ドナー休暇制度」です(必ずしも「ドナー休暇」という名称にこだわる必要はありません。既存の「特別休暇」や「ボランティア休暇」を代替適用し、造血幹細胞の提供をした場合も導入しているとみなされます。)。
勤務先にドナー休暇制度があることは、ドナーの心理的・肉体的な負担の軽減になります。造血幹細胞の提供がスムーズに行われるようになれば、多くの患者さんの命を助けることにつながり、社会的にも大きな意義があります。既に一部の企業・団体においては導入されています。
ドナー休暇制度の導入について、一人でも多くの患者さんの命を救うため、ご検討をお願いします。
ドナー休暇制度を導入している企業・団体については、日本骨髄バンクのホームページをご覧ください。
また、県内におけるドナー休暇制度を導入している企業・団体については以下のとおりです。
No | 企業・団体名 |
1 | 株式会社佐賀銀行 |
2 | 国立大学法人佐賀大学
|
3 | 佐賀新聞社 |
4 | 株式会社ミズ |
※日本骨髄バンクHPより引用。2024年9月末現在。
なお、すでにドナー休暇制度を導入している企業・団体で未登録の場合は、日本骨髄バンクへ以下の連絡書を用いてご連絡をお願いします。
また、日本骨髄バンクでは、企業がドナー休暇をより導入しやすい環境作りを推進するため、ドナー休暇制度導入に係る相談窓口を設けています。
導入をご検討されており詳しい説明をお聞きになりたい場合は、以下の日本骨髄バンクの相談窓口までお問い合わせください。
日本骨髄バンク 広報渉外部ドナー休暇制度担当
TEL:03-5280-1789(平日9時から17時30分まで対応)
なお、新たにドナー休暇制度を制定する場合の流れについて、以下に一例を示しますのでご参考ください。
<ドナー休暇制度制定の流れ>
(1)就業規則に当該特別休暇の内容を制定
(2)従業員に周知
(3)労働基準監督署に届け出
就業規則(例)
第○条
職員又はその家族が骨髄バンクを介した骨髄又は末梢血幹細胞提供等を行う場合に、以下の各号
のいずれかに該当し、当該職員から休暇の申し出があった場合は、必要な特別休暇を与える。
(1)職員が骨髄バンクにドナー登録するとき
(2)職員がドナー候補者又は提供ドナーとして選ばれ、面談、検査又は入院等を行うとき
(3)職員の家族がドナー候補者として選ばれ、当該職員が最終同意面談に出席するとき
(4)職員の家族が提供ドナーとして選ばれ、当該職員が採取施設にて採取時の待機を行うとき
2職員の家族とは、原則として職員の配偶者、父母、子又は同居の親族をいう。
3第1項第3号においては、最終同意面談を行うドナー候補者にとって、当該職員が家族の代表
として署名をする立場にある出席者に該当することを要件とする。同第4号において該当す
る職員が複数名いる場合は、休暇を付与する職員は1名とする。
4付与する骨髄等提供休暇は、本法人の発行する証明書又は予定通知等に記載された日程とし、
登録、面談、検査、入通院又は待機にそれぞれ必要な日数又は時間とする。
※あくまで一例となります。貴社内の就業規則に合わせ適宜ご修正ください。
また、佐賀県ではドナー休暇制度を導入いただき、実際に社員の方が骨髄等を提供した場合、
助成金を支給しておりますので、ぜひご活用ください。
その他、以下に厚生労働省より特別な休暇制度に係る説明がなされてありますのでご参考ください。
ドナー公欠制度(学生向けドナー休暇制度)
若年層の方が学校の授業や出席日数を心配せずに、ドナーになって造血幹細胞を提供するために必要な外来受診や入院のために大学や専門学校を休むことができる、いわば学生向けドナー休暇制度が「ドナー公欠制度」です。
患者さんと適合したのに、授業や実習を休むことができないから、という理由で提供をあきらめさせない、ドナーの意思を最大限尊重する基盤づくりに御理解、御協力をお願いします。
ドナー公欠制度を導入している教育機関については、日本骨髄バンクのホームページをご覧ください。