保安林の行為制限と優遇措置
保安林に指定されると、立木の伐採や土地の形質の変更等を行う場合などに制限があり、手続きが必要になりますが、税金が非課税になるなどの優遇があります。
【行為制限】
(1)立木を伐採する際に制限があります
保安林で立木を伐採する場合は、あらかじめ知事の許可等を受けなければなりません。
なお、この場合でも、指定施業要件として定められている制限の範囲内の伐採に限ります。
(2)土地の形質の変更等を行う際は許可が必要です
保安林内で、下記の行為を行う場合には、あらかじめ知事の許可を受けなければなりません。
・立竹の伐採
・立木の損傷
・家畜の放牧
・下草、落葉若しくは落枝の採取
・土石若しくは樹根の採掘
・開墾その他の土地の形質の変更する行為
(3)植栽の義務があります
保安林内で皆伐及び択伐を行ったあと、跡地への植栽が義務づけられている場合があります。(伐採跡地への植栽)
【優遇措置】
(1)伐採の制限に伴う損失についての補償が受けられます
禁伐または択伐の伐採制限が課せられる保安林については、立木資産の凍結に対する利子相当分の補償が受けられます。
(2)税金が免除されたり減額されたりします
固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は課税されません。また、相続税、贈与税は伐採制限の内容に応じて相続税等の評価の際に、3割~8割が控除されます。
(3)特別の融資が受けられます
一定の条件を満たしている場合には、伐採が制限される立木の維持に必要な資金を長期で低利の資金を(株)日本政策金融公庫から借りることができます。
(4)必要に応じて治山事業により整備が行われます
山崩れの防止など公益上重要な働きをしている保安林については、必要に応じて全額公費負担による治山事業で森林の整備等ができます。
指定施業要件について
指定施業要件とは、保安林に指定される際、その森林が保安林としての働きを維持するために最低限守らなければならない森林の取扱い方法を定めたものです。
指定施業要件は、保安林ごとに定められ、保安林台帳に記載し管理しています。
保安林台帳は、県庁森林整備課、管轄の農林事務所及び市町に保管されています。
(1)皆伐をする場合【知事の許可が必要です/申請できる時期が決まっています】
・一定の区域ごとに1年間に伐採できる面積が決まっています(保安林の皆伐限度)。
・一箇所当たりの伐採面積の上限が保安林ごとに決まっています。
・伐採跡地への植栽が義務付けられている場合があります。
・標準伐期齢に満たない立木は伐採できません。
※標準伐期齢は、市町ごとに「市町村森林整備計画」内で定められています。
(2)択伐(抜き伐り)をする場合【天然林:知事の許可が必要です/人工林:届出が必要です】
・択伐率は40%を上限に保安林ごとに定められています。
・伐採跡地への植栽が義務付けられている場合があります。
・前回の伐採後の成長量以上の伐採はできません。
・標準伐期齢に満たない立木は伐採できません。
(3)間伐をする場合【届出が必要です】
・指定施業要件で間伐ができる旨の指定がされていない保安林では間伐できません。
・間伐率は35%を上限として保安林ごとに定められています。
(4)伐採跡地への植栽
・伐採後の植栽が義務付けられている保安林では植栽しなければなりません。
・満1年以上の苗を、保安林ごとに定められている1ha当たりの本数以上、均等に植栽しなければなりません。
・択伐後の植栽本数は、上記の本数に択伐率を乗じた本数です。
・植栽木には、保安機能の維持または強化を図り、かつ経済的利用に資することができる樹種が指定されています(木材利用目的以外の樹種も指定されています)。
・伐採した翌年度の初日から起算して2年以内に植栽しなくてはなりません。
保安林の皆伐限度
保安林では、一定区域ごとに1年間に皆伐できる面積の限度を定めており、年4回(2月、6月、9月、12月)公表しています。また、1箇所当たりの伐採面積の上限についても保安林ごとに決まっています。
保安林内で皆伐をしようとする際は、公表の日から30日以内に知事あてに申請し許可を受けなければなりません。
令和4年度における保安林の皆伐による伐採の限度について
関連リンク
林野庁 保安林ポータル(外部リンク)
林野庁 国有林の活用(外部リンク)