農薬の販売や取扱については、農薬取締法や毒物及び劇物取締法等の法律により、厳しく規制されています。ここでは、農薬取締法(以下、法)に基づき、農薬販売者が守るべき事柄について説明します。
販売者の届出(法第17条、罰則第48条)
農薬を販売(無償譲渡を含む)する者は、販売所ごとに販売開始の日までに知事への届出が必要です。また、届出事項(住所や代表者等の届出者)に変更を生じた場合や販売を廃止する場合は、変更または廃止後2週間以内に届出を行わなければなりません。
販売者が届出を行わない場合、もしくは虚偽の届出をした場合は、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処せられるか、またはこれを併科することとされています。
届出に必要な書類については、下記ページをご確認ください。提出先は、佐賀県農業技術防除センター(〒840-2205 佐賀市川副町南里1088、電話0952-45-8153)となります。
「農薬販売届に必要な書類」のページへ
※個人で販売する場合や、インターネットを利用して農薬を販売(ショッピングサイト、フリーマーケットサイトやオークションサイトなどへの出品も含む)する場合も同様に届出が必要です。
※毒物及び劇物に該当する農薬を扱う場合は、農薬販売届とは別に、毒物及び劇物販売業の許可を得る必要がありますので、県薬務課麻薬・毒劇物担当(電話0952-25-7082)へお問い合わせください。
※肥料の販売を行う場合は、肥料取締法に基づく肥料販売届が必要になりますので、県農業経営課環境保全型農業担当(電話0952-25-7120)へお問い合わせください。
農薬の販売の制限又は禁止等(法第18条、罰則第47条)
農薬取締法で登録され、適正な表示のある農薬及び特定農薬(特定防除資材)以外の農薬を販売してはいけません。
販売者がこれに違反した場合には、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられるか、またはこれを併科することとされています。
補足説明
登録農薬には、登録番号「農林水産省登録第○○号」や使用方法など法に基づき定められた表示が容器又は包装に記載されています。(法第16条)
また、安全性などに問題があり、販売禁止農薬として指定された農薬を販売することはできません。(法第18条第2項)
「農薬の販売の禁止を定める省令」(平成15年農林水産省令第11号)で指定された販売禁止農薬の一覧 |
---|
リンデン、DDT、エンドリン、ディルドリン、アルドリン、クロルデン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、トキサフェン、TEPP、メチルパラチオン、パラチオン、水銀剤、2,4,5,-T、ヒ酸鉛、シヘキサチオン、ダイホルタン、PCP、CNP、PCNB、ケルセン、ペンタクロロベンゼン、α-ヘキサクロロシクロヘキサン、β-ヘキサクロロシクロヘキサン、クロルデコン、ベンゾエピン |
虚偽の宣伝等の禁止(法第21条、罰則第47条)
農薬の有効成分の含有濃度や効果に関して、虚偽の宣伝をしたり、農薬登録を受けていないものをあたかも登録を受けていると誤認させるような宣伝をしてはいけません。
販売者が虚偽の宣伝等の禁止に違反した場合は、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処せられるか、またはこれを併科することとされています。
帳簿の記載・保管(法第20条、罰則第48条)
販売者は、農薬の種類別に譲受数量及び譲渡数量を記載した帳簿を備え付け、その帳簿を保存しなければなりません。ただし、水質汚濁性農薬(シマジン)は、譲受数量及び譲渡先別の譲渡数量の記載が必要です。
販売者が帳簿を備え付けず、帳簿に記載しなかった場合、もしくは虚偽の記載をした場合、または帳簿を保存しなかった場合は、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処せられるか、またはこれを併科することとされています。
補足説明
帳簿は、最終の記載の日から3年間保存しなければなりません。(省令75号第16条の2)
農薬の種類別の記載となりますので、帳簿には下記の記載例のように、品名、規格別に記帳してください。なお、帳簿には無償譲渡、店舗使用(自家使用)、店舗間の転送・転受数量等も記載してください。
また、帳簿を電算処理によって代用する場合は、農薬の種類別に譲受数量及び譲渡数量を把握できる様式でなければなりません。
【帳簿記載例】
※毒物及び劇物に該当する農薬を販売する場合は、「毒物及び劇物取締法」に基づき、譲渡手続が必要となります(毒物及び劇物取締法 第十四条)。また、引火性、発火性又は爆発性のある毒物又は劇物であって政令で定めるもの(毒物及び劇物取締法 第三条の四に規定する政令で定めるもの)については、確認事項(交付を受ける者の氏名及び住所)を記載した帳簿の備付(5年間保存)が必要になります(毒物及び劇物取締法 第十五条)。詳しくは、県薬務課(電話0952-25-7082)へお問い合わせください。
報告および検査(法第29条、罰則第48条)
国や県の農薬取締職員は、農薬販売者に対し、販売に関する報告を求めることができ、また必要な場所に立ち入り、販売状況や帳簿、書類、その他の必要なものを検査することができます。
なお、販売者が報告を怠り、もしくは虚偽の報告をした場合、または立入検査を阻み、妨げ、もしくは忌避した場合は、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することとされています。
補足説明
立入検査は無通告抜き打ちで行われる場合もありますので、ご理解とご協力をお願いします。主な検査内容は、下記のとおりです。
その他の注意事項
下記事項に留意し、農薬の適正な販売・保管に努めてください。
農薬の小分け販売等の禁止
品質の保持
盗難防止対策
保管設備は必ず施錠できる構造にしてください。(「農薬の保管管理等の徹底について」平成13年10月10日13生産第5344号)
陳列場所であっても、無人になる場合は施錠するよう努めてください。
購入者に農薬を届ける場合は、必ず責任を持っている人に手渡し、玄関先等に野積みしないでください。
他商品との分離区分
補足説明 |
---|
- 食料品と隣接して陳列・保管しないでください。
- 農薬登録のない非農耕地用除草剤、ハエ、カ、ゴキブリ等の衛生害虫用薬剤、アリ、ハチ、ムカデ等の不快害虫用薬剤は、農薬ではありません。これらの薬剤と農薬を混同した陳列による販売は避けてください。
|
販売窓口での適切な指導・助言
-
農薬購入者に対して、農薬ラベルの記載事項の遵守や防護マスク等の安全対策、農薬の飛散防止、鍵のかかる場所での保管等について、適切な指導・助言をお願いいたします。
-
水質汚濁性農薬はできるだけ使用を避けるよう助言し、やむをえず使用する場合は事前に知事の許可が必要となる旨を説明してください。
農薬指導士設置のお願い
佐賀県では、農薬販売者等の皆様を対象として、農薬に関する資質の向上を図るため、農薬に関する専門的な研修を実施し、その後の試験に合格された方を農薬指導士として認定しています。
農薬を販売する皆様方におかれましては、ぜひ受講し認定者を設置していただきますようお願いいたします。
「農薬指導士」のページへ
※農薬指導士は、一定水準以上の農薬の知識を持つ者を県が認定しているものであり、法的な権限や義務を付与するものではありません
毒物及び劇物取締法 関連
-
毒物及び劇物に該当する農薬は、普通物の農薬とは区別して保管してください。(施行規則第4条の4第2項)
-
毒物及び劇物を保管している場所には「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」と表示してください。(法第12条の3)
※毒物及び劇物取締法に関することは、詳しくは県薬務課麻薬・毒劇物担当(電話0952-25-7082)へお問い合わせください。
関連リンク
農薬の販売や取扱いに関する情報については、以下のホームページに詳細な情報が掲載されています。