一尺(30cm)を超える優美な二枚の大皿である。口縁の唐草文様や、見込みの椿文は、黄、黒、茶、赤、二色の緑など多彩な色絵を用いて綿密に描かれている。椿文の輪郭を一方は染付、もう一方は黒の色絵で表している点が特徴である。そのうち、前者の表現は鍋島焼に定着し、後者は民間の柿右衛門様式などに受け継がれたと考えられる。1650年代に有田の岩谷川内の藩窯で製作されたと考えられ、初期の鍋島焼を考える上でも重要な作品である。
(染付/左側:高9.7cm 口径38.7cm 底径19.5cm)
(色絵/右側:高9.4cm 口径39.1cm 底径20.3cm)