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国指定(無形文化財の部)01

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国指定無形文化財(工芸技術)の部

 

重要無形文化財 色鍋島(いろなべしま)

    昭和51年 4月30日 「色鍋島」指定 

          「色鍋島今右衛門技術保存会」を保持団体として認定

西松浦郡有田町赤絵町2-1-15
工芸技術


十四代今泉今右衛門  肥前の磁器は、17世紀初頭に有田で焼成に成功すると、17世紀前半のうちにわが国最大の磁器生産地へと発展を遂げ、17世紀後半の海外輸出時代に技術は更に洗練され高度に発展した。この頃鍋島藩は藩の経営する窯を設置したといわれるが、本格的な藩窯の組織ができあがるのは延宝(1673~1680)ごろに伊万里市大川内山に移転してからである。
 この鍋島藩窯の製品は分業化された生産機構と厳密な品質管理のもとに、精選された材料、高度な技術によって製作され、その完成された独自の様式は、わが国で最も精巧な窯芸とされている。

 なお、「色鍋島」については昭和46年4月23日に重要無形文化財に指定され、その保持者(代表者)として十二代今泉今右衛門氏(所属する団体:色鍋島技術保存会)が認定されたが、昭和50年5月2日に十二代今泉今右衛門氏死去のため、「色鍋島」の指定及び当該保持者(代表者)十二代今泉今右衛門氏の認定が解除された。

 昭和50年に文化財保護法が改正(同年7月1日公布。10月1日施行)され、それまでの保持者の認定に代えて、無形文化財を保持する者を主たる構成員とする団体で代表者の定めのあるものを保持団体として認定することができるという制度に改められた。

 このようなことから、昭和51年4月30日に「色鍋島」が新たに重要無形文化財に指定され、「色鍋島今右衛門技術保存会」が保持団体として認定された(代表者:十三代今泉今右衛門)。

※ 昭和32年3月30日には、「上絵付(色鍋島)」(十二代 今泉今右衛門)として「記録作成等の措置を講ずべき無形の文化財」に選択されている。

 

重要無形文化財 柿右衛門(濁手)(かきえもん(にごしで))

    昭和51年 4月30日 「柿右衛門(濁手)」指定 

          「柿右衛門製陶技術保存会」を保持団体として認定

西松浦郡有田町南山丁352
工芸技術


柿右衛門(濁手)

  初代酒井田柿右衛門は、17世紀前半の寛永末から正保ごろにわが国ではじめて色絵磁器の焼造に成功し、さらに17世紀中ごろには金銀焼付技術をも完成したと伝えられる。

 この上絵(うわえ)付技法の成功は日本の工芸史上に特筆される出来事であり、柿右衛門の創始した赤絵技法は、たちまち有田一円にひろまり、近世における日本各地の陶芸に飛躍的な発展をもたらした。

 柿右衛門の最盛期は、正保から元禄ごろで、とくに17世紀後半から18世紀初頭にはいわゆる濁手と呼ばれる乳白色の磁胎に、独創性に富み、それぞれの器物の意匠形状に順応した構図と配色の赤絵付を施した柿右衛門独特の様式を完成させた。

 これらは国内ばかりかヨーロッパに輸出され、18世紀のヨーロッパ窯業界に大きな影響を及ぼした。

 柿右衛門様式には、下絵付を施さない上絵付だけのいわゆる濁手によるものと、染付に上絵を併用する染錦手(そめにしきで)のものがあるが、濁手は江戸中期以降衰退し、現代になってようやく12代・13代柿右衛門父子により復元された。 

 なお、「柿右衛門製陶技術保存会」認定の日付が昭和51年 4月30日になっているのは、昭和50年の文化財保護法の改正(同年7月1日公布。10月1日施行)により、それまでの保持者(代表者)「酒井田柿右衛門(十三代)」の認定が解除され、保持団体として「柿右衛門製陶技術保存会」が認定されたことによる。

※ 昭和30年3月19日には、「柿右衛門」(十二代酒井田柿右衛門)として「記録作成等の措置を講ずべき無形の文化財」に選択されている。

重要無形文化財 白磁(井上萬二)(はくじ(いのうえまんじ))

   平成7年5月31日指定
   西松浦郡有田町南山丁307
   工芸技術


白磁(井上萬二)     白磁は、陶石や磁土を主原料として成形し、その上に長石・石灰等に木灰を調合した透明釉をかけて焼成する        

   陶芸技法で、その白の発色は素地の白さに負うところが大きい。わが国では近世初期の初期伊万里以来、格調の 

   高い白磁が各地で焼成され、その伝統技法が現代に伝えられている。
    井上萬二氏は、16歳で十二代酒井田柿右衛門及び奥川忠右衛門に師事して白磁制作を始め、その後佐賀県立窯  

   業試験場に勤務しながら磁器の成形、釉薬の研究を重ね、伝統的な白磁の制作技法を高度に体得した。伝統技法

   を駆使して造形・色調の美しさを追求した清新な白磁の作風を確立し、日本伝統工芸展等において現代感覚に

   そった優品を発表し、かつ、技法の錬磨、保存及び後進の指導に尽力して高い評価を得ている。平成2年に佐賀県

   の重要無形文化財(工芸技術)保持者に認定されていた。

 

重要無形文化財 木版摺更紗(鈴田滋人)(もくはんずりさらさ(すずたしげと))

   平成20年9月11日指定

   鹿島市大字山浦
   工芸技術


     

   鈴田滋人氏は、昭和29年6月、鹿島市に生まれる。木版と型紙を併用する「鍋島更紗」の制作技法の研究と復元に力を注いだ父(鈴田照次氏)の 

  後を受け、昭和56年から「木版摺更紗」の研究と錬磨を重ね、その技法を高度に体得し、独自の作風を確立した。

   更紗は、室町時代後期から江戸時代初期に、南蛮貿易等により舶載されたインドやジャワの更紗等、異国情緒溢れる文様染め布であるが、この影響 

  を受けて我が国で製作されたものが「和更紗」と呼ばれている。

   「和更紗」の技法は、手描きによるものと、型紙を用いるものに大別されるが、「木版摺更紗」は、木版(版打ち)と型紙を併用する独特のもので 

  ある。手の平ぐらいの大きさの木に文様を彫った木版(地型)と、それに合わせて型紙を作り、まず、木版を布に押し当てて輪郭線等を出し、その線

  に合わせて型紙を使い染料や顔料を刷毛摺して仕上げる。作品によっては、最後に木版(上型)で線書き等して完成させる。

   この技法は、佐賀鍋島藩の保護のもとで受け継がれ、その製品は藩主からの献上品や贈答品として使われており、「和更紗」のなかでもきわめて格

  調高いものとして位置付けられる。近代に入りその技法は、いったん途絶えたが、鈴田照次氏により昭和40年代に復元された。

 

  木版摺更紗(鈴田滋人) 木版摺更紗(鈴田滋人)

                   右 / 木版摺更紗着物 漿果文(しょうかもん) 平成11年
                     第45回日本伝統工芸展 NHK会長賞(平成10年)の姉妹品

 

重要無形文化財 色絵磁器(十四代今泉今右衛門)(いろえじき(じゅうよんだいいまいずみいまえもん)) 

   平成26年10月23日指定
   西松浦郡有田町
   工芸技術


    

十四代今泉今右衛門

   今泉今右衛門氏は、江戸時代に鍋島藩窯の御用赤絵師を代々務めていた今泉家に生まれ、  

  武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業した後、陶芸作家・鈴木治に師事。平成2年か 

  らは、父であり平成元年に人間国宝に認定された十三代今泉今右衛門のもとで家業に従事

  し、色鍋島を中心とする色絵磁器の陶芸技術を習得した。

   平成13年に十三代今泉今右衛門が死去したことにより、同14年に十四代今泉今右衛門を襲

  名。家伝の色鍋島の技法を中心としながら、江戸時代から鍋島焼に用いられている、墨に含 

  まれる膠(にかわ)分が撥水剤の役割を果たして絵具を弾く特性を活かした白抜きの技法で

  ある「墨はじき」を発展させた技法を駆使。

   また、上絵付にプラチナを施して変幻的な白金色を輝かせる「プラチナ彩」を導入するな 

  ど、色絵磁器の表現に新生面を開いた。その作風は、伝統技法の上に独自の作風を確立

  し、現代感覚に溢(あふ)れ、芸術的にも優れたものとして高い評価を得ている。

 

選定保存技術 「上絵具製造」の選定及び技術保持者「辻人之(辻昇楽)」の認定 (うわえのぐせいぞうつじひとゆき(つじしょうがく)) 

   平成29年10月2日告示
   所在地 佐賀県西松浦郡有田町
   工芸技術


辻

    上絵具製造は、陶磁器の本焼焼成後に行われる上絵付けに用いられる上絵具を製造する技術である。17世紀以   

   来、我が国の伝統的な色絵磁器などの装飾に用いられてきた「和絵具」とも呼ばれる上絵具の主原料は、呈色剤   

   (着色剤)と媒溶剤である。主な呈色剤に酸化鉄、酸化銅、酸化コバルト、二酸化マンガンなどの金属酸化物を 

   用い、媒溶剤には無色ガラスの一種であるフリット(白玉・唐石)を用いる。これらを調整・調合し、細かな粉

   末状に擦り合わせて上絵具を製造する。これを陶磁器の表面に塗布して焼成すると、呈色剤が媒溶剤に溶け込

   み、化学反応によって発色し、定着する。

    上絵具は、伝統的な陶芸技術である上絵付けに欠かせない重要な原材料であるが、今日では、呈色剤・媒溶剤に

   用いる原料の入手困難などにより、質の高い上絵具の供給が危ぶまれており、保存の措置を講ずる必要がある。
    辻人之(辻昇楽)さんは、伝統的な上絵具の製造技術を高度に体得し、色絵磁器の装飾に用いられる様々な色彩

   の上絵具を製造していて、その品質は関係者から高い評価を得ている。
    辻さんは、昭和35年、有田町赤絵町に江戸時代から続く「赤絵屋(上絵付けを施す業者)」の末裔で、昭和初期

   以来上絵具の製造を専業としてきた辻家に生まれ、昭和61年から祖母・タカ、父・公也、母・恵美子に師事して、

   伝統的な上絵具の製造技術を修得した。以来長年にわたり技の練磨向上に励み、今日に至る。古来、色絵磁器の装飾に用いられてきた赤、萌黄、

   紫、キビ、群青、黒などを始めとする様々な色彩の上絵具を製造している。
    平成20年に父とともに有田町選定保存技術「有田焼上絵具製造」保持者に認定され、平成23年から、上絵具製造の技術練磨、原料の調査などの

   事業に取り組み、同技術の保存と伝承に尽力している。

 

重要無形文化財(能楽)の保持者の追加認定(総合認定)山口 剛一郎(シテ方(観世流))(やまぐちごういちろう(してかた(かんぜりゅう)))

   平成29年10月2日告示
   佐賀県佐賀市出身


    「能楽」は、能と狂言の総称。能は14世紀頃に大成した、謡と囃子を伴奏に舞踊的な所作でストーリーが展開する歌舞劇。様式化された極めて 

   簡素な表現形式によって人の感情を繊細に表現する。一方、狂言はせりふによる喜劇であり、庶民の生活にみられるさまざまな笑いを描く。能楽  

   は、後の人形浄瑠璃文楽や歌舞伎、さらに現代の芸術活動にも大きな影響を与えてきた我が国の代表的な伝統芸能であり、重要無形文化財に昭和

   32年に指定された。「能楽」の保持者として一般社団法人日本能楽会会員が総合的に認定され、現在483名の保持者がいる。これらの保持者に加

   えて、今回45名を保持者の団体の構成員として「追加認定」する。その一人に、佐賀県関係者として、佐賀市の山口剛一郎さん(シテ方(観世

   流))が追加認定された。能は、舞台で演技をする立方、音楽を担当する地謡方、囃子方で構成される。シテ方は能立方の1つで、詩的・歌舞

   的・曲線的な技法によって主役をつとめることが多い。現行演目で、シテ方が全く登場しないものはない。シテの語源は「仕手・為手」で、演技

   する人・役者一般をさす言葉から、主役の意味に変化した。シテ方五流のうち観世・宝生の二流を上掛り、今春・金剛・喜多の三流を下掛りとい

   う。

 

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