昭和49年2月25日指定
唐津市呼子町加部島
保護すべき天然記念物(植物)に富んだ代表的一定の区域
玄界灘に浮かぶ島々は、対馬暖流の影響を受け、県内でも温暖な所であり、暖地性植物が多く見られる。中でも加部島の暖地性植物群落は、最もよく保存されている。加部島は唐津市呼子町の沖にあり、現在、呼子大橋開通により陸続きになった。
加部島の中でも島東端の丘陵にある田島神社の社林(約35,600平方m)は常緑広葉樹林の天然林として、その植物相は特に優れており、海岸の自然林としても保存がよく、植物学上、貴重な存在である。北東部の海岸斜面は、ハマビワ、マサキ、トベラ、ヤブツバキ等が優先する風衝林。南西・内陸部はスダジイ、タブノキ、シロダモなどの高木林。南面中央部はホルトノキ、バクチノキなど高・亜高木が多く、暖地性の特徴を持つ。全体的にシイ、ダブ林となっているが、低木層、草木層、ツル性植物も極めて自然に繁茂している。
特に貴重なことは、アオノクマタケランとギョクシンカの自生地ということである。アオノクマタケランは台湾・九州・四国・紀伊半島南部・伊豆諸島に分布するが、加部島は分布において、日本海側の北限であり、県内唯一の自生地である。ギョクシンカは台湾・九州に分布するが、加部島は壱岐につぐ北限になっており、個体数は少なく、30株ほどと推定されている。