昭和62年6月6日指定
佐賀市城内1-15-23 県立博物館
絵画
建久3(1198)年天台宗寺院として創建され、応永年間(1394~1408)に以亨得謙によって臨済宗寺院として再興されたと伝えられる鳥栖市萬歳寺に寺宝として保存されてきた肖像画である。
見心来復(1319~1391)は、詩文にすぐれた中国の高僧で、以亨得謙の師にあたる。この肖像画は、仏法をついだ証として師から弟子へと贈られる頂相と呼ばれるもので、以亨得謙が日本へ帰る際に贈られたものである。至正25年讃(1365)。
以亨得謙(?~1402)は30年におよぶ中国滞在で臨済宗を学んで帰国し、鎌倉の建長寺などで活動し、五山文学の興隆に貢献した。のち九州に下り、萬歳寺を開いたと伝える。ここには、座禅中の睡気をさますために樹下を瞑想しつつ歩む経行(きんひん)という修行をおこなう姿が描かれている。図上には中国・明の高僧定厳浄戒が讃をしていて、以亨得謙が見心来復に禅を学んだことなどが記されている。建文4年賛(1402)。