久里双水古墳は、唐津市の中央部を北流する松浦川の東岸、夕日山麓より北西に伸びる丘陵の先端に位置する全長約90mの前方後円墳である。
後円部の中央に配置された竪穴式石室は、未盗掘のため保存状態が良好で、葬送儀礼や埋葬方法が確認できる貴重な古墳である。
石室内からは、盤龍鏡1面、碧玉製管玉)2点が、側壁上面と天井石の間から鉄製刀子1口が、墳丘からは、甕・壺・鉢類が出土し、築造時期は古墳時代前期にあたる3世紀後半頃と考えられる。
また、前方部が直線的に伸びる「柄鏡形」に近い墳丘形態であることや、古墳の規模に対して短小な石室規模であること等から地域的な様相が窺われる。
久里双水古墳は、本県において最古級の前方後円墳であり、県内の古墳時代前期における最大規模の古墳として、畿内地域を中心とした古墳文化が日本列島内の各地域へと波及する様相を示すなど学術上重要な意味をもつ。