平成27年10月7日指定
所在地 伊万里市瀬戸町字川副新田
保護すべき天然記念物(動物)に富んだ代表的一定の区域
カブトガニは剣尾綱(けんびこう)カブトガニ目カブトガニ科に属する節足動物である。種名にカニが含まれるが甲殻類ではなく、分類学上はカニよりもクモに近い。背面は甲羅に覆われ尾剣(びけん)と呼ばれる特徴的な剣状の長い尾を持つ。本種を含むカブトガニ科は、約2億年前の中生代・ジュラ紀にヨーロッパからアジアにかけて生息したとされるメソリムルスの化石と酷似しており、生きた化石とも呼ばれ、古生物学や進化生物学上貴重である。
カブトガニは、かつて瀬戸内海のほぼ全域と九州北部の海岸一帯に連続して分布していたが、近年個体数が減少し分布域も縮小している。環境省レッドリストでは絶滅危惧1類に選定されており、国内での絶滅が懸念されている。
伊万里湾内奥部では、カブトガニが産卵する砂浜とその幼生が生育する干潟が良好な状態で維持されており、カブトガニが安定的に繁殖している。また、地元保護団体により産卵地清掃や産卵観察会等の活動も盛んに行われている。