平成21年4月1日指定
所在地 佐賀市城内一丁目15番23号 佐賀県立博物館
所有者 佐賀市城内二丁目18番1号(佐賀城本丸歴史館)
歴史資料
モルチール砲は、約45度の大射角で砲弾を打ち上げる砲身の短い大口径砲で、その形から「臼砲」(きゅうほう)ともよばれる。
当該資料(2門)は、ともにオランダ式陸用29ドイム砲であり、佐賀藩が所持していたことが記録によって確かめられる。明治以降は、戦前まで伏見宮邸にあったことが知られ、その後個人の所有を経て、平成16年に佐賀城本丸歴史館の収蔵品となった。
幕末の佐賀藩は、洋式砲術をいち早く取り入れ、反射炉を用いた鉄製大砲の鋳造に成功し、最新式の火器の輸入・装備を行うなど他藩に先駆けて軍事技術の近代化を行ったが、佐賀藩のものであることが確かな現存の大砲は極めて少なく、この2門は貴重な残存例といえる。
(1) 「L.MARITZ.FEC」銘 青銅製、口径29cm、全長87cm、重量1200.5kg
幕府が、高島流砲術の採用後はじめてオランダに正式発注し、天保14年に輸入した大型火器3門の内の1門である。
加えて、佐賀藩が入手して長崎の砲台に備え付けたことも記録によって知られ、長崎警備に用いられた大砲の実物として、佐賀藩史における重要性が高い。
(2) 「冠軍・蓮池」銘 青銅製、口径29cm、全長87cm、重量1134.5kg
佐賀藩の支藩蓮池藩が所持し、後に本藩がこれを借り入れた。(1)の砲を模して国内で鋳造された可能性がある。